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沙流川

(オートキャンプ場〜三岩橋下流)

5月のカヌークラブ例会初日は沙流川オートキャンプ場から下流を下る。
参加者は22名21艇。
結構難易度の高い川の割には参加者が多いのはちょっと意外だった。
天気は今一今回ゲスト参加しているS良さん親子とN岡さんご夫婦が、そのままクラブにも入会してくれることになる。
何時も同じ顔ぶれの例会が続いていたので、新しいメンバーが入るだけでこちらも新鮮な気持ちになれる。

一週間前に役員が下見で下った時は水が多くてかなりスリリングな川下りだったようだが、今は水も減ってちょうど良い水量に落ち着いていた。
周りの山の新緑も、春紅葉を過ぎて次第に淡い緑へと変わりつつあり、今が一番清々しい美しさとなっている。

あいにくの曇り空で、ドライスーツを着ていても寒く感じるくらいの気温の低さだが、今日は楽しい川下りができそうである。

この下にテトラが沈んでいそうスタートして直ぐのテトラ護岸沿いの流れの中には、途中にテトラが沈んでいるようなところがあって、毎回ひやりとさせられる。
何人かが、その水中のテトラの上にまともに乗り上げていたが、沈することもなく無事に通過していた。

最初の難所は展望台下の大岩。
一週間前より水が減ったとは言え、上流側からではその大岩の姿が確認できなかった。
水が少ない時は、流れの真ん中にドンと鎮座している大岩がはっきりと見えるのである。
その大岩の左側を通ると行く手を遮るようにもう一つの岩があるのだが、水量が多いのでその岩をオーバーフローして水が流れていた。
水が少なければ、ここでは忙しいパドリングを要求されるが、今日の状態ならばそのまま岩を乗り越えても大丈夫そうだ。
岩の右側を通ればそんな障害物もないので、こちらはチキンコースとなっている。

大岩の瀬故かほとんどのメンバーは、それを知ってか知らずか、左側のヒーローコースの方を下っていた。
私達の前を下っていたY須賀さんが沈。
I田さんが1回下った後、カヌーを引っ張ってもう一度上流へ向かう。いつもの行動なので、それを見てもだれも驚かない。
そして2度目はチキンコースを下って沈。
わざわざ沈するために、苦労してカヌーを引っ張っていったようなもので、その努力には頭が下がる。

その後気持ちの良い瀬を幾つか下り、両岸から突き出た岩の門を通り抜けると小さな渓谷のような地形となる。
両側の崖の上に茂る樹木の新緑、流れの先に見えている山肌も新緑に彩られている。
そんな風景の中、白く波立つ瀬の中を下っていく。
これで上空が青空ならば申し分ないのだが、曇っているおかげで新緑がしっとりと落ち着いた色に感じられる。


岩の門   楽しい瀬
岩の門   この程度の瀬なら楽しく下れる

新緑の沙流川
新緑の風景に心が洗われるようだ

途中の崖にウドが生えているのを発見。 カヌーから降りて崖をよじ登り、そのウドを収穫。
少し大きくなりすぎていたけれど、上物のウドだった。
この季節の川くだりにはこんな楽しみも付随するのである。

ドキッとさせられる落ち込み三岡の瀬まで下っていく手前にちょっとした落ち込みがある。
前を下っている人の姿が突然消えるので、その落ち込みが迫っていることが分かる。
落ちる瞬間になって、ようやくその先の流れの様子を目にするのだが、ここはドキッとさせられるポイントだ。
それでも、落ち込みの先で渦巻いている大波を何とかかわすことはできるので、三岡の瀬のようないやらしさはない。
以前はここで沈脱祭りが繰り広げられたこともあるが、今回は誰も沈しなかったようである。

そうしてやってきた三岡の瀬。
何時ものように、手前で上陸して全員で下見をする。
その落ち込みは、相変わらずの迫力で水しぶきを噴き上げていた。

今回のツアーリーダーであるT津さんの意見は「やめた方が良いと思いますよ」
大ベテランのG藤さんも、ここでは下見する前からポーテージを決め込む。
三岡の瀬を下見過去の例会で怪我人が何人も出たことを直接知っていれば、そんな判断になるのだろう。
それでも各人のチャレンジしたいとの気持ちを無理に抑えるようなことはしない。

下って怪我をするのは自己責任。
しかし、自己責任とは言っても、ツアーで怪我をすれば皆に迷惑がかかる。
そのことをチャレンジする人もポーテージする人も皆が分かった上で、あえて自己責任でチャレンジする。
そんな雰囲気が自然と出来上がっているのが今のクラブの良いところだと、私は勝手に思い込んでいるのだ。

三岡の瀬の迫力に見入ったまま、誰も動こうとせず、時間だけが無駄に過ぎていく。
誰が先にここを下って人身御供になるのか、それぞれの腹の探り合いが目に見えず行われているようだ。
私は最初からチャレンジするつもりでいたので、そんな重苦しい状況を打ち破るべく、一人で上流へと向かう。
去年はかみさんと二人でチャレンジし、直したばかりのカヌーを再び壊し、二人とも体に擦り傷を負うという散々な結果に終わっていたので、今回はソロで下ることにした。

その時の水量にもよるが、三岡の瀬を下るには左岸ぎりぎりのコースをとるのがベストだと思われる。
豪沈去年はI田さんが右岸の方を先に下ったものだから、かみさんが間違ったイメージを持ってしまい、夫婦の意見食い違い沈となったのである。
今回はセオリー通りに左岸寄りを下っていく。

しかし、落ち込みの直前で、左岸から出ている岩に気を取られ、最後の一漕ぎを入れるのをためらってしまった。
その瞬間にカヌーのバウが右に振られる。
私は右漕ぎなので慌ててスイープを入れるが間に合わず、隠れ岩の左を狙っていたのが、その右側にしかも斜め向きで入ってしまう。
ここで強烈なクロスドローを入れれば、もしかしたら姿勢を立て直せたかもしれないが、そんな勇気もテクニックもなく、糸の切れた凧状態で波に煽られながら右岸の岩に向かってまっしぐら。
そして上流側へ沈。岩とカヌーに挟まれながら水中へ。
「ゴボッ、こ、これじゃあ、き、去年と全く同じ、ゴボ、ゴボッ」(この時の動画はこちら

その後、カヤックのN岡さん夫婦、I上さん、O橋さん、OC-1のI田さん、Y須賀と、全員が見事なまでの同じ左岸寄りコースを下ってクリア。
これが正しいルートカヤックのS本さんは、事前に十分なイメージトレーニングを重ねたうえで同じコースを下ってきたが、途中でガツンと何かにぶつかり、その拍子で大波のど真ん中にまともに突っ込んでしまった。そしてひっくり返り、真っ白な波の中に吸い込まれていったと思ったら、見事なロールで起き上がった。

満を持してスタートしたOC-1のN島さんは、その直後に何もないところで沈して慌てて岸に這い上がり、皆の笑いを誘う。
その次のタケさんも、N島さんと同じような場所で沈。
しかし今度は誰も笑わなかった。
岸にも上がれず、沈したままで舟と一緒に流されてきたのである。
私も慌てて、撮影を止めそうになったが、今の自分にできることはタケさんの最後の姿を映像の中に記録することだと思い直し、もみくちゃになりながら流されていくタケさんにカメラを向け続けた。
最後にN島さん態勢を立て直して下ってきて、落ち込みを降りたところで沈。
22名中10名がチャレンジし、3名が沈、けが人ゼロが今回の結果であった。
ただ、私はやっぱり肩と膝にあざができていたのである。


流されるタケさん   流されるタケさん
正しい流され方の見本を見るようだ   ヒーローコースど真ん中に突っ込む

この後は新緑の沙流川渓谷の風景を楽しみながら、のんびりと下るつもりだったけれど、轟橋の手前の瀬で前を下っていたO橋さんが沈。
水が多いと気を抜くことはできない。

轟橋と新緑崖に張り付くように架かっている轟橋も、ここを下る時の好きな風景の一つである。
これだけは川の上からで無ければ絶対に見られない光景だ。

その先にも横一列の落ち込みが有り、一週間前の下見の時はここで巻かれた人もいたようである。

渓谷の中の流れが左へと曲がるところが大きなエディになっている。
そこで岸に上がってカヌーの水抜きをしたついでに、小さな岩の上に登ってみた。
その岩の上からの風景に思わず息を呑んだ。
下っている時は気が付かなかったけれど、沙流川の水が見事なコバルトブルーに染まっていたのである。
そして、周りの山の新緑。エディの中に浮かぶ色とりどりのカヌー。
まさに、画になる風景である。


コバルトブルーに染まる水
鮮やかな色合いだ
新緑の沙流川渓谷   新緑の沙流川渓谷
パドラー冥利に尽きる風景   正面から新緑の山肌が迫ってくる

新緑の沙流川渓谷このエディから再び漕ぎ出すところも、沙流川渓谷のビューポイントと言えそうだ。
特に新緑や紅葉の季節が素晴らしい。
切り立った岩肌とその上を飾る新緑や紅葉の木々。
何度もカメラのシャッターを切ってしまう。

その後も渓谷美を楽しみながら日高大橋、三岩橋の下をくぐって、車を置いてある場所に到着。
荒々しい瀬と素晴らしい渓谷美。
この両方を思う存分に楽しめる川は、道内にもそれ程多くはないだろう。

2014年5月24日 曇り 
当日12:00沙流川水位(幌毛志橋観測所) 57.20m 


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新緑の沙流川渓谷
この付近が一番のビューポイントだろう