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留辺志部川(ルベシベ川)

(トイマルク橋〜上川橋上流)

穏やかな流れのルベシベ川前日の支湧別川でボロボロになり、浮力体も裂けていたので、この日のルベシベ川はパスするつもりでいた。

しかし、夜に降っていた雨も上がりこのまま帰るのも癪なので、一応は川を下れる準備だけはして現地まで行き、川の水量を見て最終判断することにした。

そうしてスタート地点までやって来て、そこから見たルベシベ川は、幸か不幸か、澄んだ水が流れる優しい川になっていたのである。
裂けた浮力体も皆が協力して直してくれたので、こうなるともう後には引けなくなる。

ゴール地点の上川町まで車を回送している時は雨が激しく降り始めたけれど、スタート地点まで戻ってくるとその雨も小降りになっていた。

パーキング前から出艇 前回下った時はトイマルク林道の橋からスタートしたが、今回はその少し上流の国道のパーキングに変更。
こちらの方が駐車スペースも広く、川へカヌーを下ろすのも楽だった。

スタート前のミーティングでは、I山さんからフジモト岩の話しと、我が家のカナディアンが折れた話しを引き合いに、注意すべき場所について説明された。
一度大きなトラブルがあると、この様に後々まで語り継がれることとなるのである。

まずは穏やかな川下りが始まった。
水が少なくて、途中で座礁する場所もあったが、途中で茅刈別川が合流して水量も少し増える。
それでも、私達が前回下った時と比べると、そこから先も比較的穏やかな流れが続いていた。

穏やかと言っても、それはあくまでも前回と比べての話しである。
何せ前回のルベシベ川は、我が家の過去の川下りの中でも最高に緊張を強いられた程の厳しさだったのだ。


ルベシベ川   ルベシベ川
スタートして間もなく茅刈川と合流   この程度は穏やかな流れ?

川を完全に塞ぐように倒れかかった倒木。
頭をすくめるだけでその下を通り抜けられたが、もう少し水量が増えればカナディアンでは通れなくなりそうだ。

目の前に迫る倒木そんな倒木が次々に現れる。
前方を下っているカヤックの様子を見ながら、少しでも異常があれば直ぐに岸に着けられるよう、全神経を集中しながら下っていく。

倒木ばかりではない。
水が少ない分、そこら中が隠れ岩だらけなのである。

前回はひたすら大波の立つ瀬の中を下り続けたが、今回はひたすら倒木と隠れ岩を避けながら下り続けていた。

岸から斜め45度の角度で倒れかかった倒木。
その枝に邪魔されて前方が良く見えないが、その先で倒木の根株が流心のど真ん中で待ち構えているのだけは確認できていた。
倒木の下を通り抜けたら間髪を入れずに根株を避ける動作に入る。
ギリギリで根株をかわしたと思ったら、直ぐ目の前に岩だらけの瀬が待ち構えていた。
そこまでは見えていなかったので、ルート取りを考える余裕も無く、目の前の岩だけをかわしながら下る。
やっとクリアしたと思ったら、目の前に倒木のストレーナー。
連続攻撃である。


ルベシベ川   ルベシベ川
根株を必死に避けたら   その先は岩だらけ、更に倒木も

全員が無事にそこをクリアしたと思ったら、N島さんが「あ〜」と悲鳴に近い声を上げた。
どうしたのかと思ったら、サイストラップを舟に固定するボルトが、今の瀬を下った時に外れてしまったようだ。
外れたボルトが川の中に落ちていないか、皆でその辺りを探す。

落とし物捜索中 N島さんが乗っているような一人乗りカナディアンは、膝をサイストラップで固定しなければ、舟のバランスを取れなくなるのだ。
流れの穏やかな川ならばそれでも何とか下れるだろうが、このルベシベ川では命取りである。
「こんな時のために予備のボルトを持ってないとダメなんだよな〜」と中島さん。

そこにかみさんが「これじゃダメかしら?」と、我が家の修理道具の中に入っていたボルトを取り出す。
「えっ、何でそんなもの持ってるの!」と皆が驚きの声を上げる。

しかし、長さはちょうど良かったけれど、ボルトの頭が小さすぎて、強い力が加わればすっぽ抜けてしまいそうだった。
N島さんは諦めて、自分の舟のヨークを取り付けてあったボルトを外し、それで代用することにした。

カヌー修理中でも、それでは影響が少ないとは言っても、ヨークが外れた状態のままである。
そこでまたかみさんが「これで固定できるんじゃない?」と言って、結束バンドを取り出した。
再び皆が驚きの声を上げる。

「ヒデさんとこに言えば、何でも出てきそうだ」
アリーに乗っていたので、舟の修理道具は常に持ち歩く癖が付いているのである。

N島さんが何とかサイストラップの取り付けを終えたので、そのまま昼の休憩を取ることにした。
そこでN島さんが、ライフジャケットのポケットを開けながら、「あれ?何か入ってるぞ!」。
何と、N島さんは予備のボルトを、そのポケットに入れてあったのである。
それに気が付くタイミングが何とも絶妙過ぎて、さすがN島先輩だと皆から感心されたのは言うまでもない。

川を横切る倒木再び下り始めても、相変わらず倒木が多い。
前方でN島さんが倒木の下に入り込むのが見えた。
近くまで下っていくと、倒木の幹が見事に川を真横に塞いでいた。
しかし、その中央部分が水面下に沈んでいたので、皆はその上を無事に通過。
枝がなかったので、倒木の下に潜り込んでしまったN島さんも無事だったが、舟に入れてあった浮力体は、昨日の我が家の様に裂けて潰れてしまっていた。

ブラインドになっているカーブの先にも倒木があるようなので、そこは全員で下見をする。
倒木自体は問題ないが、そこから垂れている枝や蔓が厄介だった。
I山さんとmarioさんが引っ張って、何本かを外してくれたが残ってしまったものもある。

流れもかなり速く、垂れ下がっている蔓に引っ掛かると首吊りになってしまいそうな気もする。
ここは無理しないで、我が家はサッサとポーテージすることにした。


ルベシベ川
邪魔な枝を取り除こうとするが・・・

ルベシベ川を下る他のメンバーは下るようなので、私は写真班に徹する。
皆が楽しそうに波を越えていくのを見ていると、やっぱり自分達も下れば良かったとちょっと後悔した。

ルベシベ川の核心部が近づいてきた。
あのフジモト岩が待ち構えている場所である。
ここまで何とか沈しないで下って来れたけれど、そこを過ぎなければまだ安心できない。

しかし、その核心部は流れが変わってしまったのか、あっけない程簡単に過ぎてしまった。
流れのど真ん中で待ち構えていたフジモト岩は、河原の中に埋もれていたのである。

拍子抜けして下っていくと、その先では倒木で川が完全に塞がり、その横の細い流れの中をポーテージするしかなかった。
本流はその倒木のストレーナーの中に吸い込まれている。
今日は水が少ないので、その手前で余裕を持って上陸できたけれど、もしも水が多くて流れも早い時に沈でもしたら、そのままストレーナーに掴まって、命を落とすところである。


倒木ストレーナー
流れが速かったら、もっと危険な倒木のストレーナー

前回下った増水時に、こんな倒木がなかったのはただの幸運だったのかもしれない。
ルベシベ川はカナディアンで下る川ではないと、この倒木を見て改めて感じたのである。

カヌーを壊した堰堤そうしてやって来た、前回我が家のカナディアンを折ってしまった堰堤。
今回は素直にポーテージしようと考えていたが、左岸側に魚道のような流れがあり、そこを下ることになった。
それにしても、その堰堤の中央部に積み重なった流木の山には圧倒される。
この様な自然河川では、増水する度に大量の流木が発生するのだろう。
それを考えると、この川は例会で下るような川でもないことは確かである。

前回はこの堰堤でリタイアしていたので、ここから先は初めて下る区間となる。
後はゴールまでのんびり下れるのかと思ったらそうでもなかった。
川を塞ぐような倒木こそ無かったものの、緊張する瀬が次々に現れ、ゴールまでの距離も結構ある。

そこも無事に下りきって、とうとう一度も沈しないでゴールまでたどり着けた。
何だか、沈しないで川を下ったのは、かなり久しぶりの気がする。
もしも昨日の支湧別川だけで帰っていたとしたら、暫くの間、負け犬の気分で過ごさなければならないところだった。
少しだけ自信を取り戻し、充実感をかみしめながら帰途についたのである。

2016年6月26日 曇り一時雨 
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ルベシベ川を下る
最後まで気を抜けない瀬が続く

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