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沙流川

(キャンプ場〜三岩橋下流)

台風10号の大雨による増水で、国道274に大きな被害をもたらした沙流川。
10月の例会でその沙流川を下る予定なので、その下見として企画された今回の沙流川ダウンリバー。
2週連続で同じ川を下るのもどうかなと思っていたが、天気が良さそうなので急遽参加を決めた。

沙流川スタート地点集まったメンバーは13名。
水量はちょうど良さそうだけれど、水はかなり濁っていた。
上流部では災害の復旧工事があちらこちらで行われているはずなので、その影響なのだろう。

我が家にとっては沙流川は鬼門である。
去年の5月には沈して流されている間にかみさんが小指を骨折。
その前には三岡の瀬で沈して、カヌーを壊したり二人とも体を擦り剥いたり。
そのイメージが強すぎて、下る前から何時も以上に緊張してしまうのだ。


沙流川スタート地点
スタート地点は二つに分流していた

岩の上で座礁下り始めてすぐに岩の絡んだちょっとした瀬があった。
かみさんに下るルートを決めさせると、少しでも波の小さな方へ行こうとする。

「あ〜、そっちへ行くと苦労しそうなのに」
案の定、岩の中で行き場を失い、横向きになって岩に乗り上げる。

そして、そのまま沈。
沈と言うより、水深が浅すぎるので、カヌーから落っこちたと言う表現の方が正しいかもしれない。
それでも、上流側に傾いたカヌーは、流れ込む水の水圧により、簡単には岩から剥がせない。
O橋さんが助けに来てくれて、ようやくカヌーを引き剥がすことができた。

最初からこれでは先が思いやられる。
次に現れるはずの大岩の瀬はどうなっているのだろう。

消えた大岩の瀬緊張しながら下っていくと、何時もならば流れの真ん中にドンと構えている大岩の姿が何処にも無かった。
水量が多い時は水中に没していることもあるが、そんな気配も無い。
そこは何の問題も無い流れに変わってしまっていた。
大岩は、流れてきた土砂で完全に埋もれてしまったらしい。

その先の「かみさん指折れの瀬」は、そのまま同じ場所に残っていたが、形が少し変わってこれまでのような大きな波は立っていなかった。
岩の門の前の岩盤が露出した落ち込みも健在だったが、周辺の様子は結構変わっている。
そこから先、去年までとは微妙に流れが変わっている場所が多く、ただでさえ緊張しているところに余計に緊張を強いられる。


沙流川指折りの瀬   岩の門手前の瀬
指折りの瀬は迫力が無くなった   岩の門手前の瀬

沙流川を下る流れは変わっていても、両側に切り立つ岩壁とそれを覆う緑の森の風景に変わりは無い。
ところどころで木々の葉が色づき始めていたが、今年の紅葉は例年よりは遅れているみたいだ。
一週間後の例会で何処まで色付いてくれるだろうか。

水が濁っているので、水中に隠れている岩の姿が殆ど見えない。
おまけにMEに乗っていると、かみさんとの間隔が狭くて前の様子が見えないのである。
かみさんの背中の横から覗く様にして、前方を確認しなければならないのだ。


沙流川の風景
渓谷の紅葉は始まったばかり

沙流川三岡の瀬そうして問題の三岡の瀬まで下ってきた。
まずは全員で下見をする。
落ち込みになっているところの流れはこれまでとそんなに変わってはいない。
「左岸寄りに下れば大丈夫ね」とかみさん。
最近はここをポーテージすることが多かったので、今回は逃げずにチャレンジするつもりだった。
どうやら、かみさんもやる気満々のようだ。

皆が下っている様子を途中まで撮影してから、「よし!そろそろ行こうか!」と、かみさんと二人で自分たちの舟まで戻る。
スタスタと戻っていくかみさんに、「ちょっと待って、何処から落ち込みに入るか見ておいた方が良いんじゃない?」と声をかける。
すると、不振な表情を浮かべて振り返ったかみさん。
「えっ?何言っているの!下るわけ無いでしょ!」

沙流川三岡の瀬を下るがっかりした。
これで、たとえこの先を沈しないで下れたとしても、負け犬気分のまま沙流川を後にするのは決まってしまったのだ。
たとえここで沈したとしても、負け犬の気分になることは無い。
チャレンジせずに逃げることが負け犬なのである。

苦労してカヌーを運んだ後は、再び皆が下る様子を指をくわえながら眺めていた。
そしてそこで昼食にする。

台風による増水時は、ここでもかなりの高さまで水が上がっていたようである。
そこは、春にここを下る時、皆でウドやアイヌねぎを収穫する場所だった。
来年はもうウドが採れないな〜と、I山さんが悲しそうに呟いた。


沙流川三岡の瀬を下る   三岡の瀬で昼食
楽しそうに三岡の瀬を下る   三岡橋の下で昼食

渓谷を一旦抜け出す昼の休憩を終えて再び下り始める。
三岡橋を過ぎると、川は一旦渓谷を抜け出す。
左手に広がる採石場は、その敷地の上にまで流木が積み重なっていた。

ここまで下ってきた区間では河畔林が流された形跡はあまり見られず、流木の山もそれ程無かった。

大量の流木は日高山脈で発生し、そこから流れてきた流木は下流のダム湖に甚大なゴミとなって溜まっているのだろう。

川の流れは吸い込まれるように再び渓谷の中へと入っていく。
岩壁に張り付くように架けられた轟橋が前方に見えてくると、川面が次第に波立ち始める。
荒馬を乗りこなすようにその波を超えていく。

沙流川の瀬を下る波だけなら何とか乗り越えられるが、ドキリとさせられるのはその中で待ち構えている隠れ岩である。

カヌーの横っ腹がその岩にぶつかり大きくバランスを崩すが、何とか持ちこたえられた。

轟橋を後方にして、しばし渓谷美に見惚れながら下っていく。

しかし、またすぐに現れる次の瀬。
昔はもっとのんびりと渓谷美を眺めながら下れたような気がするけれど、気のせいだろうか。


沙流川渓谷
轟橋付近の風景が好きだ

沙流川渓谷
渓谷の風景に見惚れる

沙流川を下る青い三弦トラスが特徴的な日高大橋が見えてくると、ゴールは間近だ。
橋の下の瀬がどうなっているか気がかりだったけれど、そこは大人しい瀬になっていて一安心。

そこから先は深い渓谷の美しさを満喫しながら、のんびりと川の上を流されていく。
三岩橋を過ぎて右岸の川原に上陸。

これまでのゴールに使っていた川原が、そこに降りる道に泥がたまっていたので、ひとつ手前のこの川原を今回のツアーのゴールにしたのである。

少し雲が増えてきたけど、まだ暖かな陽射しが私たちを優しく照らしてくれる。
来週はクラブの例会で、またここを下る。
後一週間でどれくらい紅葉が進むか、楽しみだ。

2016年10月2日 晴れ時々曇り 
当日12:00沙流川水位 (幌毛志橋観測所)  57.07m 


沙流川を下る
ゴールの三岩橋が見えてきた

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