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憧れの地百人浜キャンプ

百人浜オートキャンプ場(8月23日〜24日)

 お盆の休み予定を1日短縮して、その分を歴舟川キャンプツーリングの翌日月曜日に持ってきた。
 そうして歴舟川を下り終え、皆と別れ、まずは晩成温泉で汗を流す。本来ならばこの後は、そのまま晩成キャンプ場にテントを張り、太平洋を眺めて川下りの余韻に浸るのが理想なのだけれど、ここのキャンプ場はもう私にとって、泊まる価値の無い場所に変わってしまったのだ。
 何時かはテントを張ってみたいと考えていた、このキャンプ場の太平洋を一望する孤高のサイトは既に閉鎖されしまい、現在は温泉施設に隣接する冴えない芝生広場にしかテントを張れないのである。
 そこで向かったのが、これも何時かは泊まってみたいと考えていた、えりも町の百人浜オートキャンプ場である。

 襟裳岬へ向かって車を走らせていると、次第に怪しげな雲が広がってきた。明日は雨の予報も出ているので、早くも雨雲がかかってきたのかもしれない。
 かみさんが、「川下りの荷物も片付けたいし、オートサイトでも良いんじゃない?」と言い始めた。
西日に照らされるフリーサイト ここのキャンプ場はフリーサイトの方が良い雰囲気と聞いていたのでちょっと迷ったけれど、疲れていたので素直にその意見に従うことにする。
 雨が降り始める前にキャンプ場に到着。
 受付で一番最初に言われた言葉が「ペットを連れていませんか?」だった。ここが以前から私の憧れのキャンプ場だったにも係らず、これまで利用する機会がなかったのはこのためである。
 こう聞かれることは予想していたので、その時は「ペットの写真だけなら良いですか?」と聞いてやろうと思っていたけれど、残念ながら今回はフウマの写真を忘れてきたのである。
 そして、次の言葉が「フリーサイトで良いですか?」だった。
 「あれ?」
 一大決心でオートサイトを利用するつもりでいたのに、いきなりこう言われるとその決心も直ぐに揺らいでしまう。
 受付からは、両方のサイトの様子を見渡すことができる。
 西日が当たって気持ちの良さそうなフリーサイトに比べて、通路沿いに並んだオートサイトは陽もあたらず薄暗いイメージだ。
オートサイトはパッとしない オートサイトには電源が付いているということだけれど、我が家にとって何のメリットも無いことのために3000円の料金を支払う気にもなれず、言われるままにフリーサイトを利用することにした。
 二人分で600円。
 管理人さんが最初からフリーサイトの利用しか考えていないのももっともである。オートサイトにはキャンピングカーが1台停まっているだけだった。

 管理棟前のフリーサイトには先客が4組ほど。そこだけに日が当たって、皆気持ち良さそうに寛いでいる。
 一方、その奥のカシワの木が茂る林間部分は、日が当たらずにとても薄暗い雰囲気だ。
 私が、管理棟前広場の隅の方にテントを張ろうとすると、かみさんが不服そうな様子である。
 「近過ぎるわ!」
 最近は私以上に、孤高のキャンプを愛するようになってきたかみさんなのである。
 そこで、誰もいなくて薄暗いカシワの林間に移動する。
 外からは光の加減でとても暗く見えていた林間部分も、中に入ってみると木漏れ日も射して意外と明るかった。
 「おお〜、良い感じだ!」
 私がこのキャンプ場に憧れていたのは、こんなサイトをイメージしていたからなのである。


憧れどおりのサイト
 

 そのまま最初の場所にテントを張っていたら、後悔して、もしかしたらサイトの引越しまでしていたかもしれない。
 ソロキャンプの、しかも川下り用装備と、通常のオートキャンプ用の装備と、ごちゃ混ぜになって荷室に詰め込まれているのを全て車から降ろした。
 テントは小川のソレアードを設営する。
 ソレアードの前室部分にシートを敷き、お座敷風にして寛ぐのが、我が家の最近のスタイルである。
 そのために、腰掛けた位置が低いBYERの椅子が、今までは物置に入ったままだったのが、今年は大活躍しているのだ。
 今日の夕食は途中で買ってきたコンビニ弁当。
荷物の片付け 川下り中は軽食を取っただけだったので、二人とも無茶苦茶にお腹が空いていて、何かを作って食べるなんて悠長な考えは全くなし。むさぼる様にして弁当を食い尽くす。
 何時ものキャンプならばテントを張り終えたところでホッと一息付けるのだが、今日はテントを張り終えて、飯を食べ終えたところで、ようやく一息付くことができた。

 ビールを飲みながら、のんびりと荷物の片づけをする。
 どうやら、心配していた雨も降らずにすみそうだ。
 野良猫が悠然とキャンプ場の奥を歩いていく。
 チャリダーが我が家の近くにテントを張り始めた。
 いつの間にか日も沈んだようで、辺りが次第に暗くなってくる。
 林間にテントを張り、その中にこもって過ごしていると、夕暮れの時間の区切りに気付かないまま時間が過ぎていく。
 直ぐ近くで猫の鳴き声が聞こえた。
 先程の野良猫らしい。
 テントに前足をかけ、メッシュの窓から中を覗き込もうとしていたので、裾を持ち上げてやると、そこからするりと中に入ってきてしまった。
珍客 体を擦り付けてきて、やけに馴れ馴れしい。
 飼い猫なのだろうか?
 思わぬお客さんに私が喜んでいると、大の猫好きのはずのかみさんが、冷たい態度しかとらないのが意外だった。
 「これは野良猫よ、こうやってキャンパーから餌をねだりながら暮らしているんじゃない。」
 テントの中の食べ物を漁るものだから、おにぎりの残りがあったので、しょうがなくそれを少し食べさせると、美味しそうにガツガツと食らい付いている。
 満腹になったようなので、テントの外に出してやると、「にゃあ」と一声鳴いて、他のテントに向けてスタスタと歩いていった。
 かみさんが小樽に住んでいた頃、何時もこんな野良猫の相手をしていたので、その扱いには慣れているようである。
 「ところでこのキャンプ場って、ペット禁止じゃなかったっけ?ペットじゃなくて野良なら良いのかな?」
 そんなことを考えてしまう小さな出来事だった。

 キャンプ場の門限午後7時間際に一組のキャンパーが到着し、辺りが暗いので車のヘッドライトでサイトを照らしながら設営を始めた。
 しばらくその状態が続いたので、管理人さんらしき人が注意をしにいったようである。場内通路への車の進入は、荷物の積み下ろし時だけ認められているのだ。
 さすがに、ペット禁止も徹底されているだけあって、この辺の管理はしっかりしているなと感心していたが、結局そのキャンパーはその後も30分くらい、同じ状態で設営を続けていた。
 なんだかんだ言っても、管理する側よりもキャンパー側の問題の方が大きいのである。
 ワインを1本空けて、午後8時には就寝。

快晴の朝 翌日も早朝から素晴らしい青空が広がっていた。
今回のキャンプでは、天気予報が全て良い方に外れてくれている。
 キャンプ場から近くの悲恋沼まで通じる散策路を歩いていみる。
 襟裳岬と聞けば、伐採により砂漠化した土地を植樹により蘇らせようとしている話しが思い浮かぶが、散策路沿いのカシワ林の意外な豊かさに驚いてしまう。
 カシワ林を抜けて沼まで出てくると、アオサギだろうか、人の気配に驚いた鳥達が一斉に飛び立ってしまった。
 海岸に背の高い展望台が見えたので、そこまで行ってみる。
 もっと早起きしてこの上から朝日を見れば良かった、と思いながら下までやってくると、利用時間は午前9時からとなっていたのでガッカリしてしまう。
 キャンプ場までの帰り道は、道路の方を歩いてみる。
 道路の両側には街路樹が植えられた歩道が整備されているが、こんなところに歩道を作って歩く人なんているのだろうか?
 そもそも、ブロック舗装されたその歩道は雑草に覆われて、最初はそこに歩道があることさえ気が付かなかった有様なのである。
 街路樹として植えられているナナカマドは、その実を赤く色づかせて、秋の訪れを私達に教えてくれていた。


悲恋沼

道案内のエゾシカ サイトに戻って片付けを済ませ、今日の目的地である豊似湖へ向けて出発した。
 豊似湖は2年前の5月に初めて訪れ、その神秘的な佇まいに魅了され、この次は是非、周りの木々が色づいた秋に訪れようと考えていたところである。
 しかし、せっかく百人浜に泊まったのなら、近くのここに寄り道しないで通り過ぎるのはもったいない。
 昨日走ってきた道を18キロほど逆戻りして、えりも町目黒の集落から、猿留川沿いの道を山の中へと入っていく。
 途中で一頭のエゾシカが道を塞いでいるのに気が付き、ブレーキを踏み込んだ。
 そしてゆっくりと車を走らせると、「私が道案内してあげるわ」とでも言うように、時々後を振り返りながらそのまま私達の前を走っていくのには、苦笑いするしかなかった。
 そうして駐車場に到着。
豊似湖 デイパックに熊避けの鈴を付け、苔むした岩石がゴロゴロと転がる山道を登り始める。
 直ぐに、ハート型の木の看板が取り付けられた湖畔に到着。「駐車場からこんなに近かったかな?」と拍子抜けしてしまう。
 そこから湖畔沿いの道を奥へと進む。
 新緑の時期の豊似湖も美しかったけれど、濃い緑に囲まれたこの季節も、より落ち着きを増した大人の佇まいを見せてくれる。
 カツラの巨木の根元から湧き出している水を、手ですくって口へと運ぶ。
 カツラの甘い匂いが、その湧き水にまで溶け込んでいるような気がした。
 今回は湖の奥から更に山道を登って、豊似湖を見下ろせる沼見峠と呼ばれる場所まで言ってみることにする。
 尾根沿いの道を登り詰めると、更にそこからは笹の茂る斜面にそって登山道らしき道が続いている。
再びエゾシカ登場 再びエゾシカが行く手を塞いでいた。
 私達が再び歩き始めるまで、興味深そうにこちらを眺めている。
 豊似湖のエゾシカは、他の山中で出会うエゾシカよりも警戒心が薄く、その分好奇心が強いようである。
 ここの登山道は獣道と言った方が似合っていそうだ。
 人間よりもエゾシカが歩いている数の方が多いかもしれない。
 それに、途中にあった大きな糞の塊は熊のものだろう。
 一日以上は経っていそうなので、まだ安心できる。
 看板が何もなく、道もそんな道なので、本当に正しいところを登っているのか不安になってくる。
 事前に仕入れていた情報では、豊似湖から沼見峠まで往復1時間程度となっていたのに、既に1時間近くも登り続けている。
 そしてようやく、それらしい場所に到着した。確かにそこから豊似湖は見下ろせるけれど、それだけを目的に登ってくる価値があるかと問われれば、返答に窮しそうだ。
 このまま更に登り続ければ観音岳へと達するが、その反対側にも笹に覆われた山が見えている。踏み分け道も付いているようなので、もしかしたらそこが本当の沼見峠かもしれないと思って、そこまで登ることにした。
 その時である。
 ドッドッドッと、馬が駆けるような音が遠くから近づいてきた。
 何事かと思っていると、大きな牡鹿が近くの藪の中から飛び出してきて、私達の直ぐ近くで立ち止まった。
笹に覆われた山頂を目指す びっくりしながらカメラを向けると、相手もこちらに気が付いたようで、慌てて駆け去っていく。
 本当にここは、野生動物の臭いがとても濃い場所である。

 笹を掻き分けながら再び山を登り始める。
 下から見えていた踏み分け道も途中で消えてしまい、その後は笹原を掻き分けながら進む。
 そしてようやく頂上まで登ったと思ったら、更にその先にもまだピークが見えていて、ここまできたらそこに立たずには帰られないと、更に登り続ける。
 往復1時間の軽いハイキングのつもりが、何だか本格的な山登りになってしまった。
 頂上からは、果てしなく続く山並みの中にポツンと穴が開いたような豊似湖が見下ろせ、後を振り返れば日高山脈が海に没する襟裳岬の先端まで見渡せた。


山頂から見下ろした豊似湖

 アブにたかられ、笹原からはダニがぴょんぴょんと飛び付いてくるような場所で、のんびりとする気にもなれず、直ぐに下山開始。
 汗だくになりながら、ようやく豊似湖の湖畔まで下りてきた。
 湧き水の湧いている場所を見つけ、そこでタオルを濡らして体を拭くと、最高に気持ちが良い。
 エメラルドグリーンの湖面から1本の木がにょきりと生えている。
 その湖面に映る周りの木々や湖畔の倒木。
 自然が作り出した極限の美の世界がそこに広がっている。
 豊似湖は上から眺める湖ではなく、こうやって湖畔からその姿を楽しむだけで十分である。
 そこからは湖を一周するようにして湖岸を進んだが、途中で崖の上から倒れてきた倒木に行く手をふさがれ、それを迂回するために崖の上に攀じ登ったりしながら、ようやく駐車場まで戻ってこられた。


湧き水の湧く岸辺   美しい豊似湖の水辺

豊似湖の湖畔

 豊似湖で予定以上に時間を取られたので、襟裳岬はショートカットして札幌への帰途につく。
 相変わらず上空には青空が広がっているけれど、日高山脈の上には大きな積乱雲が盛り上がり、その下では雨も降っているようである。
 昨日、今日と、雨雲を上手くかわしながら行動してこれたのかもしれない。
 千歳付近まで走ってきて、とうとう雨が降り始める。
 札幌まで戻ってくると、雨は上がっていたものの、吹いてくる風は完全に秋の涼しさだった。
 これが今年の夏の最後のキャンプ、次回からは秋のキャンプが始まることになる。

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