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キャンプ始めがベストキャンプ

支笏湖畔(3月30日〜31日)

今年の冬は久しぶりに旭岳の森の中でキャンプをしようと考えていたが、実現しないまま春が近づきつつあった。
何せ、週末の二日間が天気に恵まれることは殆どなく、荒れた天気の旭岳山中で野営するほど、キャンプに命をかけている訳じゃないのである。
そこで、旭岳は諦め、手頃な支笏湖畔でのキャンプに目標を変更することにした。

土曜日の朝、雨雲レーダーを確認すると、日本海側一帯には西風に乗った雪雲が流れ込んでいた。
それでも、石狩南部の天気予報では午後から晴れてくることになっていたので、千歳市内で早めに昼を食べ、それから支笏湖に向かって車を走らせる。
その途中でも天気は変わりやすく、太陽が姿を見せたかと思ったら突然吹雪模に変わってくる。
とても2日後に4月になるとは思えない様な天候である。

そんな時にとんでもないことに気が付いた。これから冬のキャンプをすると言うのに、上着を忘れてきたのである。
ここまで来て今更引き返すこともできない。
昔、羊蹄山麓の半月湖でスノーシューを楽しもうと現地までやってきたところで、かみさんが冬用の上下を忘れてきたことに気が付き、倶知安のホームセンターで3千円くらいの防寒着を買って急場をしのいだことを思い出す。
今回はそこまでしなくても、アウターシェルとしても使えるファイントラックのウェアを着ていて、それと合わせて5枚の重ね着をしているので、何とかなるだろう。どうしても寒さに耐えられなければ、羽毛のシュラフに包まって過ごせば良いだけだ。
でも、もしもこれが旭岳でのキャンプだったら、上着を忘れたことに気が付いた時点で引き返すことになっていただろう。

車を停める場所には既に釣り人の車が沢山停まっていたが、ちょうど1台分の空きがあったので助かった。
そこが空いてなければ、交通量の多い国道の路肩に一晩車を停めておくことになり、あまり良い気持ちはしないのだ。

転んでもがく私スノーシューを履き、重たいザックを背負って歩き始めた直後のことだった。
長靴の中に雪が入ったので、片足だけ脱いで、その雪を出そうとしたところでバランスを崩した。
普通ならば踏ん張れるところでも、重さ30キロ近いザックを背負っていてはそうもいかない。
そのザックに引きずられるように背中から雪の中に倒れ込んだ。

そこから湖畔までは釣り人も沢山歩いているので、ツボ足でも歩けるだろうと思っていたが、それは大間違いだった。
気温はせいぜいプラス1、2度くらいなのに、雪はザクザクに融けていて、スノーシューを履いていてもズボズボと埋まってしまう。
背中に背負った30キロ近い荷物も確実に影響していた。
ビールにワインに水にお茶に、山に登るわけではないからと、荷物の軽量化など全く考えていなかったのだ。
それに、MSRのスノーシューを履いてきたのも間違いだった。
こんなに埋まるのならば、森の散策用として昔に買った大型のスノーシューの方が役に立ったかもしれない。

 
雪が解けて歩きづらい  
スノーシューを履いていても埋まってしまう   巨木の森を通り抜けて湖畔へ

湖畔に到着上着を忘れたことなど全く関係ない位に汗をかき、1時間以上かかってようやく目的の湖畔にたどり着いた。

夏場はキャンプ場として大賑わいとなるこの場所も、冬の間はひっそりと静まりかえっている。
昔、フウマがまだ生きていた頃の冬に、一緒にここまで歩いてきたことがあった。
その時は、釣り人が残していったであろうウ○チにフウマが体を擦り付けてしまったものだから、冷たい支笏湖の水で必死になってフウマの体を洗ったものである。
それ以来の冬の支笏湖だった。

この際だからと、夏場だったら絶対にテントを張れない様な場所にテントを設営することにした。
北西の季節風が強いとの予報だったので、山や森がその風を遮ってくれそうなこの地を選んだのは正解だった。
それでも時々強い風が吹き付けてくる。
我が家のプライベートサイト先シーズンの冬、旭岳での雪中キャンプに備えて竹製のペグを自作したが、結局その年は使う機会が無かった。
それが今回、ようやく役立つことになる。
竹の節が良い具合に雪に噛んでくれるのだ。
ただ、乾いた雪の時はもう少し長くないと役に立たないかもしれない。

到着時には雲に隠れていた恵庭岳も、テントの設営が終わるころにははっきりとその姿を現していた。
2週間前にその山頂に立ったばかりのイチャンコッペ山も、恵庭岳の隣に小さく見えている。
そんな風景を楽しむために、かみさんがビールを持って雪の解けた砂浜に陣取る。
イス代わりに使おうと、かみさんが大きな石を避けたところ、その下でじっと春を待っていたカエルがびっくりしてぎょろりと目を剥いた。
慌ててその石を元に戻す。


湖岸でビール   冬眠中のカエル
美しい風景を眺めながらビールをグビッ!   冬眠中のカエルににらまれた

気温が低くて、時折突風が吹きぬけても、春の太陽の陽射しを浴びていれば、寒さは全く感じない。
しかし、その太陽が僅かでも雲に隠れると、突然ブルッとするくらいに震え上がる。

再び雲が広がってきたので、体が冷えない様に周辺の森の中を散歩することにした。
ザックを背負っていないとMSRのスノーシューでもそれ程苦労しないで歩くことができる。
森の中の散歩一般的なスノーシューを選ぶ時は「体重+背負う荷物の重量」によって、サイズが分かれている。
MSRのスノーシューは、そんなサイズ分けはされていないのだ。
元々が森の中の散策用としては作られていないのである。

積雪期でなければ、笹や灌木で歩くこともままならない森の中を、今は自由に歩き回れる。
巨木を見つける度にその下まで歩み寄って抱き付いてみる。
そうすることによって木の大きさを実感できるのだ。

太い蔓が複雑に絡み合っているのを見つけて、その蔓に腰かけてみる。
自然のブランコだ。
径が10センチ近くはありそうな極太の蔓で巨大なリースを作るのは以前からの自分の宿題でもある。
そのうちに手ノコを持って冬の森に入り、その巨大リース作りにチャレンジしたいものだ。


巨木に抱きつく   蔓のブランコ
両手を広げても半分にも届かない   蔓のブランコだ

ひっくり返ったテント一しきり森の散歩を楽しんでから湖畔へと戻ってくると信じられない光景が目に飛び込んできた。
何と私のテントがひっくり返っていたのである。
自慢の竹ペグは勿論のこと、テントの中には、ザックのベルトが肩に食い込むのもいとわずに持ってきたキャンプ道具が入っていたので、そんな事態は全く考えてもいなかった。

その原因は、竹ペグ自体は抜けていなかったけれど、そこにかけてあったコードなどがペグの上からすっぽ抜けたことによる。
ペグが効くようにと深く埋め込みすぎて、地上部に出ている部分が短すぎたのである。
何となく不安はあったけれど、中に荷物も入っているので大丈夫だろうと軽く考えていたのだ。
中の荷物のおかげで湖まで飛ばされることは無かったけれど、テントを元に戻すのに中の荷物を全て外に出さなければなかった。

夕食準備太陽が西に傾いてくると気温も氷点下を下回ったようで、解けていた雪があっという間にカチカチに固まってきた。
かみさんがテントの外でチゲ鍋を作っている間、私はテントの中で、冷え過ぎたビールを飲んでいる。
上着は忘れてきたけれど、普段は持ち歩かないネックウォーマーを持ってきていて、これが寒さを防ぐのに役立ってくれた。
襟元の寒さの入口さえ塞いでしまえば、5枚重ねのレイヤリングでこの程度の寒さはしのぐことができる。

テントの中でチゲ鍋を食べて、その後は二人で池田ワインの清舞を開ける。
貰い物のワインで、500円ワインに慣れた我が家にとっては高級ワインである。
しかるべき機会にその高級ワインを飲もうと考えていたら、かみさんの選択はそれが今回のキャンプだったようである。

ワインを空にしてテントの外に出てみると、素晴らしい星空が広がっていた。
ここでこんな星空を見られることは、新鮮な驚きだった。
普段は場内の照明やキャンパーのランタンなどの明かりに邪魔されて気が付かないけれど、上空には何時もこんな星空が広がっているのだろう。


夕暮れ   星空
日が傾くと急に冷え込んできた   空に輝くオリオン

夜8時にはそれぞれのテントに分かれて就寝。
ふわふわのシュラフに包まって、そのまま朝までぐっすりと眠ることができた。
朝の訪れ5時近くになって隣のテントから、かみさんがゴソゴソと動く気配が伝わってきた。
気合を入れてシュラフから抜け出し服を着込む。
テントの入り口を開けようとすると、ササーっと雪が滑り落ちる音が聞こえた。
夜中に降った雪が薄っすらとテントの上に積もっていたのだ。

テントから出ると美しい朝焼けが空を染めていた。
反対側の空には満月から4日ほど経過したいびつな月が浮かんでいた。
昨夜はこの月の出も見たかったのだが、9時過ぎまで夜更かしするのは難しかったのだ。

湖で歯を磨いてから湖畔を散歩する。
湖畔に薄く積もった雪の上には足跡が付いていた。
かみさんの話によると夜中の3時過ぎに人の話し声が聞こえていたそうである。
日の出もしかしたら彼らは私達のテントを見て呆れていたかもしれないが、私にしてみればそんな夜中にここまで歩いてい来る釣り人の方に呆れてしまう。

湖が赤く染まり、やがて風不死岳の山裾から朝日が顔を出してきた。
湖畔に積み重なった流木の隙間にツララが下がり、それが朝日を受けてキラキラと輝く。
ネコヤナギの芽の上に積もった雪も朝日に赤く染まる。
湖畔の木々が真っ白な雪面に長い影を落とす。
素晴らしい朝の風景が目の前に繰り広げられる。
苦労してここまで歩いてきて、こんな季節にキャンプをしていなければ、決して体験できない朝である。

美しい湖畔の朝
素晴らしい湖畔の朝

朝日
木々が長い影を伸ばす

氷の洞窟   朝の光の下で
氷の洞窟に朝日が射し込む   朝日を浴びてまったり

湖畔を後にする朝のコーヒーを味わい、昨夜のチゲ鍋に餅とうどんを入れて朝食にする。
これだけ素晴らしい朝を楽しむことができれば、もうここに未練はない。
食事を終えると直ぐに片づけを始める。
来る時はザクザクの雪に苦労したので、帰りは堅雪になっている間に歩きたかったのだ。
それでも、朝は長靴だけでも埋まらずに歩けていたのに、既にスノーシューが少し埋まるくらいまで柔らかくなってきていた。
気温はまだそれほど上がっていないはずなのに、太陽の陽射しだけで凍った雪を溶かしているのだろう。

帰り道は、昨日歩けなかった巨木の森の中を通っていく。
この森の中で独立木として一番太い樹木はどれになるのだろう。
巨木に見入るその選択には迷うけれど、株立ちとなった幹が合体して太くなっているものまで含めれば、道路から比較的近い場所にあるカツラの巨木が文句なしに一番だろう。

その後は車を停めた場所まで黙々と道路を歩いていく。
雪は解け始めていても、自分たちが付けてきたトレースのおかげで帰りはそれ程苦労せずに車までたどり着けた。
それでも、キャンプ場からは1時間弱。
楽しいキャンプのためにはこれくらいの苦労は我慢しなければならないのだ。

それにしても、最初からこんなに素晴らしいキャンプをしてしまうと、今シーズンでこれを上回るキャンプができるのか、ちょっと心配になる様なキャンプだった。

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