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紀伊半島の旅、最終章

つり橋の里キャンプ場他(4月24日〜27日)

玉置神社から下りてきた後、十津川村へと向かう。
今回の紀伊半島の旅では十津川村だけはどうしても見てみたかった。

明治22年の大水害で村が壊滅し、それをきっかけに北海道(現在の新十津川町)へ集団移住した。
そんな歴史を抱える十津川村がどんな場所なのかとても興味があったのだ。
おまけに、平成23年にも再び十津川村を大水害が襲い、現在はどんな様子になっているのか、それも気になっていた。

これまで回ってきた他の地区も含めて、5年前の水害の爪痕はほとんど目立たなくはなっていた。
それでも、山が崩れ落ちたような巨大な地滑りの跡は至るところで目に付いた。

十津川村歴史民俗資料館目も眩むような深い渓谷沿いに車を走らせ、十津川村の中心部付近にやって来ると、ようやく渓谷の底を流れていた川にも手が届きそうになり、何となくホッとする。

十津川村では歴史民俗資料館で、その歴史に触れる。
その後は近くの湯泉地温泉の公衆浴場「滝の湯」で汗を流す。

今回の旅では小辺路の縦走を終えた後、毎日違う温泉に入って、それが全て良いお湯の温泉ばかり。
こんな楽しみまであるとは予想外で、得した気分になれた。

そして今日の宿泊地であるつり橋の里キャンプ場へと向かう。
ここの直ぐ手前に谷瀬の吊り橋オートキャンプ場もあるが、そこは素通りして目的地へ。
年季の入った管理棟にはおばあちゃんが一人。
私達が札幌から来ている事を知って、3500円の料金を3000円におまけしてくれ、とても優しいおばあちゃんだった。

何処にテントを張るか、途方に暮れてしまうくらいに場内は広い。
木立の間にテントを設営迷った末に、樹木が一番茂って、目の前を流れる十津川が良く見える場所にサイトを確保。
上空につり橋が架かっているので、そこから丸見えの場所は避けたかったのだ。

テントを張り終えて、早速その吊り橋を渡ってみる。
日本一と称しているだけ有って、さすがに迫力がある。

長さ297m、高さ54m、揺れは大きいけれど、落下防止用のネットもしっかりと張られているので、怖さはあまり感じない。
小辺路を歩いた時に渡った吊り橋の方が、余っ程怖かった。

吊り橋の上から眺めても、私達のテントが良く見えない。
どうせならば、もう少し目立つ場所にテントを張った方が良かったかもしれない。

 
谷瀬の吊り橋
迫力満点の吊り橋だ

谷瀬の吊り橋を渡る   我が家のテントが見えない
周りをネットで囲まれているので怖さは無い   自分達のテントが見えなくてちょっと残念

それにしても、広大な敷地内に張られているテントは我が家の一張りだけ。
今回の紀伊半島の旅で利用した他のキャンプ場でも、他のキャンパーの姿を見る事は殆ど無かった。
まだ4月とは言っても、北海道の感覚から見れば、既に快適なキャンプシーズンである。
でも、そのおかげで毎回快適なキャンプを楽しめているのだ。

流木も十分に確保そうしてテントへ戻って来て、今まで自分達が渡っていた吊り橋を見上げながらビールを飲む。
これもなかなか乙なものである。
時々、頭上から叫び声が聞こえてくるのもご愛敬だ。

河原には流木も結構転がっていて、それを拾い集めて夜の焚き火の準備をする。
場内には、焚き火台代わりになりそうな鉄製の頑丈なバーベキュー用コンロが沢山有ったので、今日はそれを使う事にする。
ただ、無茶苦茶重たいので、それをテントの横まで持ってくるのに一苦労した。

夕食を終えたら早速焚き火タイム。
北山川での1泊ツーリングはできなかったけれど、その代わりに毎日のように河原での焚き火を楽しんでいる。

暗くなると吊り橋もライトアップされる。
今日も良い夜だった。


吊り橋を背景に焚き火
吊り橋を背景に焚き火を楽しむ、本当はもっと美しくライトアップされるようだ

吊り橋と朝日朝目覚めると、青空が広がっていた。
朝日が昇ってきても、山に邪魔されて、我が家のサイトまではなかなか陽が射してこない。
しょうがないので、こちらから陽の当たっている場所まで歩いていく。

河原には、白い石だけを並べて文字や絵が描かれている。
吊り橋の上から眺めるために描いたのだろう。

電動カートに乗ったお年寄りが吊り橋の上を渡っていく。
観光名所となっている谷瀬の吊り橋だが、元々は生活用の吊り橋として地元の人達がお金を出し合って架けたものである。
今でもこうして利用されているのだ。


石で描かれた牛   吊り橋を渡る電動カート
白い石で描かれた牛さん   電動カートが渡っていく
サイトから吊り橋を見上げる
下から見上げても良い眺めである

キャンプ場を後にして、今回の旅の最後の宿泊となる天川村の洞川温泉へと向かう。
国道168号の十津川街道は、新しく作られたようなトンネルも多く、これまで走ってきた紀伊半島の他の道と比べて走りやすい。
でも、そんな道路よりも旧道の方を走った方が、美しい風景に出会えたり、地元の人達の日常生活を身近に感じられる。

突然道路が消えたでも、そんな道路を走っている時、突然目の前の道路が無くなっていて驚かされた。
道路が崩落している直ぐ手前に、通行止めの看板と簡易なバリケードが設置されているだけ。
「こんな所にわざわざ進入してくる車などいないだろう」と考えられているのかもしれない。

方々で土砂崩れの復旧工事が行われていた。
実際にこの付近では、雨が降ると法面が崩落する事も多いみたいだ。
日本一長い路線バスに乗って熊野本宮から高野山へ移動しようとした時も、この国道168号が土砂崩れにより通行止めとなって、私達も影響を受けていたのだ。

国道から離れて、天川村へ向かう県道53号へ入ると道幅が一気に狭くなる。
おまけに、国道の通行止めは今も続いていて、この県道が迂回路になっているものだから交通量も多い。
対向車が来る度に冷やっとさせられる。

満開の桜この県道53号沿いにはキャンプ場が沢山あってビックリした。
しかも、立派なコテージが中心のキャンプ場ばかりで、私達が泊まるようなところではないのだ。

天川村は標高が高いところにあって平均気温も低く、関西の軽井沢とも呼ばれているらしい。
夏の間は避暑を兼ねたキャンパーでこの辺りは賑わうのだろう。
2週間前、吉野の桜は既に散りかけていたけれど、洞川温泉まで来ると、まだ満開の桜も残っていた。

私達は旅の最後の宿泊という事もあり、この日は洞川温泉のゲストハウス一休を予約していた。
温泉旅館でないところが、何時もの貧乏旅行である。
洞川温泉に着いて、まずは昼食。
その後、龍泉寺、かりがね吊り橋、面不動鍾乳洞等を観光。
他にも見所が多く、時間が足りなかったのが残念だった。


洞川温泉街を流れる川
風情のある温泉街の風景

龍泉寺   泥川温泉
龍泉寺の桜   泥川温泉の山でも桜が咲く

洞川温泉センターで温泉に入ってから、ゲストハウスにチェックイン。
ここで同宿だったのが、四国高松のゲストハウス「そらうみ」のオーナーで、お遍路のガイドもされている方だった。
私達も今年の秋には四国遍路を予定していたので、嬉しい出会いだった。
温泉旅館に泊まるよりも、ゲストハウスや素泊まり民宿などに泊まった方が面白い事も有るのである。

温泉街を歩く一休みしてから温泉街をそぞろ歩く。
風情たっぷりの温泉街である。

そこら中に陀羅尼助丸の看板が出ていた。
古くから作られている胃腸薬で、役行者が弟子の後鬼にその製法を伝授したのだとか。
陀羅尼助丸を売っている店が沢山有るが、それぞれによって微妙に作り方が違うらしい。

夕食を済ませて一旦宿に戻り、暗くなってからもう一度温泉街に出かける。
提灯などに明かりが灯った夜の風景も素晴らしいと聞いていたのだ。

しかし、まだ宿泊客が少なく、窓の明かりが消えている旅館も多かった。
旅館の窓にもう少し明かりが灯っていれば、もっと美しいに違いない。
ここの旅館に泊まって温泉に入り、浴衣姿でこの風景の中を歩いてみたいものだ。


夜の温泉街
宿の窓にもっと明かりが灯っていれば更に美しくなりそうだ

みたらい渓谷紀伊半島の旅最終日は、0:30発のフェリーに間に合うように舞鶴まで移動するだけ。
宿を出た後はみたらい渓谷の遊歩道を少しだけ歩いてみる。
これがなかなか素晴らしい渓谷美で、もっと時間をかけて歩きたいところだった。

かみさんがお土産の梅干しを買いそびれたので、少しだけ遠回りして九度山町の道の駅に向かう。
和歌山県内を移動している時は、梅干しなんて何処ででも売っていたのが、奈良県に入ると全く売っていないのである。
いくら梅干しが和歌山県の名産と言っても、ここまで徹底しているとは思わなかった。
そこでわざわざ、和歌山県内の九度山町へ行く羽目になったのである。

NHKの大河ドラマで真田幸村が題材になっているものだから、真田家に関係する九度山町には観光客が押しかけていた。
今回の旅で南海高野線の電車に乗って高野山へ向かう時も、九度山駅で沢山の観光客が下車していた。

慈尊院道の駅で無事にお土産用の梅干しをゲットした後、真田関係の観光施設はパスして、近くの慈尊院を見に行く。
この寺も、紀伊山地の霊場と参詣道の一つとして世界遺産に登録されており、今回の旅で訪れるのにはちょうど良かった。

この後も、フェリーに乗るまでたっぷりと時間があるので、高速道路を途中下車し、去年の京都旅行で行きそびれた勝持寺に寄り道。
舞鶴を通り越して、日本三景の一つである天橋立にも寄り道。

そうしてようやくフェリーに乗船し、小樽港を目指す。
翌日にフェリーから見た夕日は、紀伊半島の旅の締めくくりにふさわしい美しさだった。 

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船上から見る最後の夕日

紀伊半島の旅最後の夕日を船上から眺める



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