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スタイルの違い知内キャンプ

知内町農村公園(6月6日〜8日)

定年退職し無職無収入のの生活になると、お金はなくても時間だけはたっぷりとある。
そうなると、必然的に高速道路を使わなくなる。

海岸を散歩今回泊まるキャンプ場は知内町の農村公園。
高速道路を大沼まで利用すれば料金は6400円。現役の頃でも躊躇ってしまう金額である。

一般道路をのんびりと走りながら、豊浦町の直売所に寄り道してイチゴを買ったり、内浦湾の砂浜を散策したりと、たっぷりとある時間を楽しむ。

昼食は、森町の東光亭でラーメンを食べるつもりが定休日だったので、同じ森町の次郎長へ入る。
ここのラーメンもなかなか美味しくて、満足して知内町へと向かった。

今回の道南遠征の目的は大千軒岳の登山である。
当初は上ノ国町の夷王山キャンプ場に泊まるつもりでいたが、上ノ国町から大千軒岳の登山口に向かう道道が通行止めだったため予定を変更。
他に登山口に一番近いキャンプ場と言うことで選んだのが知内町の農村公園だった。

重内神社の階段知内町に入って、展望台が有るらしいので寄り道してみる。
その展望台は重内展望台と言って、重内神社の隣に建っている。
道路沿いの鳥居の先に重内神社へと続く長い階段が伸びていたが、私は躊躇うことなく神社に向かう車道の方に車を乗り入れた。
明日、山に登ろうとしている人間が、これくらいの階段を避けてしまうのだから困ったものである。

あまり知られていない観光スポットだけれど、展望台からの眺めはなかなか素晴らしかった。
整然とした田園風景の先には津軽海峡の海が広がり、更にその先には下北半島の山々まで望める。

 
重内展望台からの眺め
重内展望台からの眺め

そうしてようやく農村公園に到着。
このキャンプ場には過去に一度泊まろうとしたことがあったけれど、その時は熊が出没したとかで入口が閉鎖されて、その様子さえ見られずに終わっていた。
その時は、こんな所に熊が出るのかと驚いていたものだが、確かに周りを森に囲まれ、熊が出没してもおかしくはない雰囲気だった。

我が家のサイトそんな場所で、しかも平日。
キャンパーなどいないだろうと思ったいたら、駐車場には大型のキャンピングカーと車中泊らしいワンボックスカーが停まっていたので驚いてしまう。
車の外にはBSアンテナも設置して、如何にも長期滞在キャンパーと言った雰囲気だ。

道内の何処のキャンプ場でも見かける風景である。
殆どが本州ナンバーの車で、仕事をリタイア後、車中泊しながら北海道内を回っているのだ。
以前から、自分達とは全く違うタイプのキャンパーのような気がして、一線を画してきたのだが、今となってはお互いに同じリタイア組キャンパーである。

それでもやっぱり、彼らとは距離感を感じてしまうことに変わりはない。
挨拶はしても、それ以上親しく話しかける気にはならないのだ。
彼らにしても、少し離れた場所にササッとテントを張ってしまう私達を見て、自分達とは異質なキャンパーだと感じているのかもしれない。

金麦とイカ刺し午後3時過ぎには設営を終え、何時も通りに金麦で乾杯。
肴は木古内のスーパーで買ってきたイカ刺し。
今時期の道南キャンプでは、やっぱりイカ刺しを食べなければならないのだ。

キャンプ場自体は、周りを森に囲まれた何の変哲もないただの芝生広場である。
その中央部分に少し高くなったコンクリート製のステージのような構造物がある。
公園ができた当初には、そこでイベントも開かれたのかもしれないが、今は使われる事も無さそうだ。
公園の案内図を見ると、すぐ近くの道の駅まで遊歩道が有るみたいだが、草で覆われその存在も確認できなかった。
隣接して小さな沼も有るのだが、草が茂って近づくこともできない。
トイレは簡易水洗の仮設トイレ、水場もステンレスの流し台が置かれているだけ。

そんなキャンプ場だけれど、私達にとっては静かに過ごせればそれだけで文句は無い。
しかも無料で利用できるのだから、ありがたいキャンプ場である。

場内を少し歩いてみると、芝生の中に見慣れない花の群落があった。
白と紫の2種類の花が咲いていた。

森に囲まれ落ち着けるキャンプ場だ家に帰ってから調べてみるとサギゴケと言う名前だった。
本州以南に自生しているとのことなので、道内では珍しいのかもしれない。

正面に見えている山は、明日登る予定の大千軒岳なのだろうか。
ちょうどその方向に夕日が沈んでいく。
夕食を済ませ、その夕日を眺めながら焚き火を楽しむ。

周りの森の中から「ジョッピンカケタカ」とエゾセンニュウの鳴き声が聞こえてくる。
その他にもカッコウ、ウグイス、ヨタカと、とても賑やかである。
エゾセンニュウは夜通し鳴き続け、耳栓して寝れば良かったかなと思う程だった。


落ち着けるキャンプ場だ   サギゴケ
森に囲まれ落ち着ける雰囲気   芝生の中で咲いていた花

夕日を眺めながらビールを飲む
キャンプで一番楽しい時間である

キャンプ場の朝翌朝は日の出前から起き出す。
朝の焚き火とコーヒー。
我が家のキャンプの何時も通りのルーチンにしたがって行動し、午前7時前には大千軒岳に向かってキャンプ場を後にした。

(大千軒岳登山の様子はこちら

山から下りた後は知内温泉「ユートピア和楽園」で汗を流す。
キャンプ場から5キロも離れていないところに、こんな素晴らしい温泉があるのだから堪らない。

その後は知内町内のコンビニまで買い出しに出かけ、キャンプ場に戻ってきた時は既に午後6時近くになっていた。
昨日よりも少し雲が多く、夕日はもうその雲に隠れそうになっていた。

夕日と焚き火夕食を済ませ焚き火を始める頃には、太陽が沈んだ西の空に細い三日月が浮かんでいた。

今回持参した焚き火用の薪は、十勝の実家で切り倒したカラマツを割ったもの。
カラマツだけでの焚き火は初めてだったが、熾きにもならずに燃え尽きてしまうのには驚いた。
灰さえも残らないくらいだ。
これでは焼き芋も作れない。

カラマツの薪は大量にあり、当分の間はキャンプで使う薪には苦労しないと思っていたが、なかなか上手くはいかないものである。


焚き火の時間
今宵も焚き火を楽しむ

青空も覗く朝キャンプ最終日の天気予報は雨になっていたが、朝の段階ではまだ青空が残っていた。
昨日の温泉が朝7時から入れるので、テントを撤収した後は朝風呂に入ってから帰ることにする。

撤収を終えて、道の駅の綺麗なトイレで用を足す。
温泉の営業時間にはまだ早かったので、近くの青函トンネル記念撮影台に寄り道する。

私は知らなかったが、青函トンネルの北海道側出入口がそこなのである。
そう言えば、青函トンネルを出てくる北海道新幹線の一番列車を、鉄道ファンが待ち受けている様子をテレビニュースで見た気がするが、その場所が多分ここだったのだろう。

ユートピア和楽園の内湯ご丁寧に新幹線が通り過ぎる時間まで表示されている。
丁度もう少しで新幹線がやって来る時間だったのでカメラを構えて待っていると、そこにやって来たおじさんに「好きですね〜」と笑われてしまった。
私は慌てて、「いや、たまたま通りかかっただけですから」と答える。
私は鉄ちゃんでは無いのである。

そうして青函トンネルに入っていく新幹線の写真を撮り、ユートピア和楽園で朝風呂に入る頃にはポツポツと雨が降り始めていた。


青函トンネルに入っていく北海道新幹線
鉄ちゃんじゃないけど、こんな写真を撮りたくなる

札幌への帰り道ももちろん高速道路は使わず。
途中で、今は廃線となった旧江差線の様子を見ていくことにする。

旧江差線の線路 今年から線路や駅舎の撤去が始まることになっていたはずだが、まだそっくりそのまま残っていた。

3年前に利用した江差線。
そして5年前には江差線に沿って流れる天の川をカヌーで下っている。
私と江差線の関わりはその2回しかないけれど、その姿を見ると懐かしささえ感じてしまう。

北海道に新幹線がやって来る陰では、こうして地方の鉄道が次々と消えていくのである。
私は、今でも北海道に新幹線は必要ないと思っている。
複雑な気持ちのまま、札幌への長い道のりを車を走らせた。


旧江差線の鉄橋
この鉄橋も今年中には撤去されてしまいそうだ


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