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支笏湖で進水式

美笛キャンプ場(7月6日~7日)

この日の天気予報は曇り時々晴れ。
週間予報を見てもキャンプに出かけられそうなのは、この日しかなかった。

しかし、少しくらい青空が覗いてくれるだろうと思っていたのに、現地で待っていたのは霧雨だった。
ところが、私たちの車にカヌーが積まれているのを見た受付のおばさんが「今日は湖が凪いでいて良かったですね」と言ってくれたので、心の中に日が射した気分だった。
今回は、新しく買ったばかりのカナディアンカヌー「Pocket Canyon」を初めて水に浮かべるため、支笏湖の美笛キャンプ場へとやって来たのである。


霧雨も降る美笛キャンプ場


金曜日の午前10時過ぎだったけれど、場内にはポツポツとテントが張られている。
まだ好きな場所を選択できる状態だったが、迷わずに北側の狭い湖岸にテントを張ることに決めた。
週末を控えて、この後キャンパーが増えてくることは目に見えているのだ。


11年前のフリーダムの進水式

そこの湖岸は、我が家のソレアードをギリギリで張れる程度の幅しかない。
もしも隣にテントを張られることがあったとしても、せいぜいソロテントくらいだろう。
霧雨は止んだけれど、湖を取り巻く山々は低く垂れこめた雲に隠れて何も見えない。

今まで乗っていた「マッドリバー フリーダム」の進水式は、11年前に朱鞠内湖でやっていた。
その時に使ったお酒は日本酒の上善如水。

「最高の生き方は水のよう」そんな意味が込められた名前に惹かれて選んだのだけれど、今回の進水式用に持ってきたのは栗焼酎のダバダ火振。
四国旅行のお土産で買ったものが、まだ手を付けずに残っていたのである。
四万十川に所縁のある焼酎なので、カナディアンカヌーの進水式用には丁度良いかもしれない。


ポケットキャニオンはダバダ火振で進水式



ダバダ火振を数滴垂らした

カヌーの舳先にダバダ火振を数滴垂らして、早速湖に漕ぎだす。

これまでのフリーダムは16フィート、このポケットキャニオンは14.4フィート。
カナディアンカヌーとしては、かなり短い方だ。

ロッカーも付いているので、回転性は今までのフリーダムよりも格段に良い。

一旦戻って来ると、直ぐにそのままかみさんが一人で漕ぎだしていった。
かみさんが戻るのを待ちかねて、今度は私が漕ぎだす。
パドリングに小気味良く反応する舟に、早くこれで川を下ってみたくなった。


昼食を済ませて、場内をぐるりと歩いてみる。
キャンプ場の総合案内板を見て、一応はオートキャンプサイトとフリーテントサイトに区別されていることを初めて知った。
その案内板によると、私たちがテントを張っている場所は湖畔フリーテントサイトになっていた。
確かに、駐車スペースとの間に樹林帯があるので、オートキャンプはできないのだ。


豪華な装備に圧倒される


キャンパーの数も次第に増えてきていた。
初めて見るような大型のテントにタープ、キャンプ場中央にサイトを構えている豪華装備のキャンパーが目立っていた。


男前な女性ソロキャンパー

それとは正反対の雰囲気で、車でやって来た女性キャンパーがソロ用テントとタープを一人で設営していた。
カヌークラブにも似たような女性がいるけれど、なかなか男前なキャンパーである。

ライダースーツに身を固めた女性が、大型バイクの後ろに男性を乗せてやってきた。
たまたま運転を交代していたのかと思ったが、男性の様子を見る限りでは、運転するのは女性だけみたいで、キャンプ場の受付も女性の方が済ませていた。
でも、かみさんの話では夕食は男性が作っていたらしく、変わったカップルである。

モンベルの大型タープを張っていた熟年夫婦キャンパー。
夫婦二人で使うには大きすぎるタープなので、多分、先にきて場所取りでもしているのだろう。
私たちも、クラブのキャンプでは同じようなことをしているのだ。
しかし、結局最後まで二人きりのままで、暗くなると大きなタープの下にランタンを五つも下げていた。




一目見ただけで日本人ではないと分かるのは何故だろう?

見るからに日本人とは思えない10人程度の集団。
私はてっきり、豪華装備キャンパーは業者さんで、こちらの中華系キャンパーはグランピングのお客さんかと思ったが、彼らはレンタカーのキャンピングカー3台に分乗してやってきたみたいだ。

美笛には様々なタイプのキャンパーが集まってくるので、その様子を観察しているだけで楽しめる。
他のキャンプ場では一般的な、コールマンやロゴスのテントが並ぶ風景も、ここでは無縁である。
最近流行りのワンポールテントが、やたらに目立っていた。
でも、これはこれで、コールマンのテントが並んでいる風景と大して変わりないような気がする。


しっとりと濡れた緑が美しい巨木の森


キャンプ場のゲートを出て、巨木の森を歩いてみる。
雨に濡れた巨木の森は、しっとりとして良い雰囲気だ。


笹薮の中から様子をうかがうエゾシカ

突然、笹薮の中からガサガサと音が聞こえてきた驚かされる。
何かと思ったら、笹薮に隠れてこちらの様子を窺っている一頭のエゾシカを発見した。

ミズナラやカツラの巨木が多い。
その幹には苔が育ち、他の植物も着生している。
屋久島の森を思い出す。

出来ればそんな巨木の近くまで行ってみたいけれど、笹が茂っているので道路際の巨木にしか近寄れない。
昔は森の中に散策路もあったような気がするけれど、今はその影も形もない。
笹をちょっと刈り払えば済むだけなのだから、また散策路を整備して欲しいものである。






焚火タイム

ゲートまで戻ってくると、管理人のおじさんが「良い写真を撮れたかい?」と声をかけてくれた。
現在の管理人のおじさんとおばさんが何時からいるのかは分からないが、とても感じの良い管理人さんで好感が持てる。

テントに戻ってきて焚火を始める。
カヌーで漕ぎだして湖岸の流木を集めてきたが、雨が降っていたのでどれも湿ったものばかり。

でも、自宅から乾いた薪も持って来ていたので、それと一緒に燃やせば、たっぷりと水を吸った重たい流木でも何とか燃えるものである。
キャンプ道具も食事も質素だけれど、焚火だけは豪華なのが我が家のキャンプである。


焚火だけは豪快に


寝る時まで雨は止んでいたのに、夜中に目覚めるとテントを叩く雨音が聞こえていた。
翌日の天気予報は曇りで、雨は全く心配していなかったのに、がっかりである。

降っていたのは霧雨で、雨音の正体は頭上の木の枝から落ちてくる水滴だった。
しかし、霧雨と言っても、普通の雨と大して変わりはないくらいに強い降りである。
テントの張り出し部分に、見る見るうちに水がたまってくる。


テントの中から焚火を眺める

でも、これくらいでも焚火はできる。
薪はまだ残っているし、外に置きっ放しだった焚火台を乾かしたいので、朝起きて霧雨の中で直ぐに焚火に火をつける。

こんな天気でも、朝7時のゲートオープンとともに入ってくるキャンパーがいる。
こんな天気でも、霧雨の降る湖にカヌーで漕ぎだしていく人もいる。

天気が悪ければ直ぐに予定を変えてしまう私たちには、信じられない光景である。
この日も、雨さえ降らなければ千歳川でカヌーの流水デビューをするつもりだったけれど、そんな予定は早々に取り止めたばかりだ。

先日の黒松内でのキャンプも雨の中での撤収となってしまった。
しかし、その時は一時的だけれど途中で雨も止んだし、芝生のサイトだったのでテントが汚れることもなかった。

それが今回は、強めの霧雨が降り続け、おまけに砂地のサイトなのでテントも砂まみれ、条件は更に悪くなっている。
でも、こんな状況でどうやって撤収すれば良いかを考えるのも、結構楽しい作業である。


昨日よりも天気が悪い


そんな中で8時半にはすべての撤収を完了。
管理棟の軒先を借りて、次々にやって来るキャンパーを眺めながら一服。
優しい管理人さんに見送られて、美笛キャンプ場を後にした。


美笛キャンプ場内にはワンポールの尖がりテントが並んでいた


帰り道、支笏湖を離れた途端に霧雨も上がった。
これならば、週末にキャンプを予定していた人達も、中止にすることなく美笛までやってくるわけである。
現地に着いてから中止にする気にはさすがになれないだろうし、雨の中でテントを設営していた人達の気持ちがようやく理解できた。

この日の夜から雨が降り始め、翌日もその雨が降り続く予報になっていたが、札幌は結局雨が降らずに翌日は朝から快晴。
支笏湖のその後の天気がどうだったかは分からないが、天気予報を信じて予定を変えていては、楽しい思いができなくなることを改めて思い知らされた気がした。



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