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巨木の懐に抱かれて

支笏湖美笛(2月27日~28日)

天気予報は快晴、そして予想最高気温はプラス6度。
そんな日に山に登るか、キャンプへ行くか。
最高気温がプラスの日が10日ほど続いていて、雪質は全く期待できなく、私は迷うことなくキャンプに決めたのである。

行先は支笏湖の美笛。
先週に続いて今週もソロキャンプのつもりでいたけれど、かみさんが「美笛なら私も行こうかな」とのことで、今回はめでたくペアキャンプとなった。

今年は雪が少ないので駐車場所の心配もなさそうだ。
いざとなれば道路際の邪魔にならないところに車を停めるつもりでいたが、通行止めゲート前にはまだスペースが空いていて、無事に駐車場所を確保。
先に停まっていた3台は、多分釣り人の車だろう。

20キロのザックを背負って歩き始める。
かみさんの背負うザックも15キロを超えていた。
そんなに長距離を歩くわけでもなく、重さにはあまり気を使わずに荷物を詰め込んだが、やっぱり20キロを超えると肩にずしりと食い込んでくる。


キャンプ地を目指して雪に埋もれた道道を歩いていく


冬の支笏湖でキャンプをしたのは6年前。
その時は湖畔にテントを張ったけれど、今回は巨木の森の中にテントを張るつもりでいた。


美笛川を渡る

美笛川を渡って、キャンプ場入り口までやって来た。
通行止めの道道をそのまま奥まで進んでいるトレースや、美笛川を渡ってから湖とは反対側の森の中に入って行くトレースもあった。
どちらも何人かのパーティーで歩いたようなスノーシューのトレースで、釣り人にしてはちょっと変である。

キャンプ場へと向かう道路には、雪に埋もれかけた数人の足跡があるだけだ。
さすがに、こんな時期にキャンプ場へと入ってく物好きは殆どいないようである。

私は、巨木の森の中でも一番大きなカツラの木の下にテントを張るつもりでいた。
そのカツラは、道道から少し入ったところにあったが、周りにチシマザサが結構生えていて、そこにテントを張るのはちょっと厳しい。
その近くにも同じようなカツラの巨木があって、その前なら大丈夫そうだ。
森の中を見渡すと、他にも気を惹かれる巨木が沢山見えるが、何処にテントを張っても風景は変わりそうにないので、そのカツラの前を今日の野営地に決定する。


今回の野営地


今回のキャンプの目的は、巨木の下にテントを張り、その精気に包まれて眠ること。
そのためには申し分のない場所である。
かみさんは、「風が遮られそう」と、少し離れた窪地にテントを設営。
森の中だけれど、少し強めの風が時々木々の間を吹き抜けていくのである。


チキンラーメンは山食に丁度良い

昼食は、NHK朝ドラで「まんぷくラーメン」として放映されているチキンラーメン。
生卵をトッピングして食べるととても美味しい。

山で食べるラーメンとしてはマルタイの棒ラーメンが知られているけれど、このチキンラーメンの方が美味しくて、鍋もべとつかず、お湯をかけて3分、煮込めば1分で出来上がる。
軍配は完全にチキンラーメンに上がるだろう。

腹を満たしてから、湖岸まで足を延ばす。
巨木の風景を楽しみながら15分ほど歩いて、閉鎖中のキャンプ場までやって来た。
夏の喧騒からは考えられない様な、静けさに包まれた美笛キャンプ場である。


冬の美笛キャンプ場



真っ白な雪の上を歩いて湖岸まで出てくると、そこには真っ青な支笏湖の湖面が広がっていた。
その湖面の向こうには、真っ青な空を背景にして恵庭岳がその白い姿を浮かび上がらせている。
冬にしか見られない絶景である。


美しい恵庭岳の姿


そのまま湖岸を美笛川の方向に歩いて行くと、正面には風不死岳と樽前山が連なるように山裾を伸ばしている。
こちらの風景も恵庭岳に負けていない。


風不死岳と樽前山


美笛川の近くまで行くと、沢山の流木が湖岸に打ち上げられている。
その下にはしぶき氷が見られるのだけれど、今年は湖の荒れる日が少ないからなのか、しぶき氷も少なめだった。

河畔林ではネコヤナギも芽吹き始めていた。
今年初めて見つけた春の風景である。


しぶき氷

春を感じさせるネコヤナギ


今日の天気ならば、巨木の森よりも湖岸にテントを張っていた方が良かったかもしれない。
そんなことを思いながらテントまで戻ってきた。


ここならば巨木に抱かれて眠ることができそうだ


でも、巨木の森でのキャンプも良いものである。
森の中を自由に歩き回れるのは、雪の積もっている今時期だけなのだ。
森の中の巨木に自由に近づくことができる。


森の中で一番大きなカツラ

これくらいの巨木は沢山ある




ヤマゲラ

ビールを飲みながら、木々の梢を飛び交う鳥たちの姿を眺める。
今回は新調したEOS Rで野鳥の撮影にもチャレンジするつもりでいた。

しかし、カメラを三脚にセットして準備した途端に鳥たちの姿が消えてしまった。
やっと1羽の鳥がテントの近くの木にとまってくれたけれど、なかなか狙いが定まらない。

木の枝の間からマニュアルでピントを合わせているうちに、他の場所に飛び移ってしまう。
前のカメラで使用していたTAMRON 16-300mm F3.5-6.3を取り付けていたけれど、これでも余程近くまで来てくれないとまともな写真にはならない。
それでも、ヤマゲラの姿を初めてカメラに収めることができたのが収穫だった。


野鳥を撮影していると、もっと望遠のレンズが欲しくなる


暗くなる前に早めの夕食を済ませる。
ソロキャンプならば、レトルトご飯にレトルトカレーで済ませるところだけれど、かみさんが一緒だとそれに冬キャンプ定番のキムチ鍋が加わる。
夕食ができるまで、私はタバコを吸いながらボーっとしているだけ。これでは何時まで経っても独り立ちできない。
しかし、かみさんが全てやってくれるので私の出る幕は全く無いのである。


早めの夕食準備


夕食を済ませて近くを散歩する。
美笛川に架かる橋から山の中へ入って行くスノーシューのトレースが気になったので、その後をちょっと追ってみることにした。


森の向こうに見える恵庭岳、実際はもっと赤く染まっていた

スノーシューのツアーで山に入ったトレースの様な気がして、もしかしたらこの先に、私たちの知らない巨木があるかものかも知れない。
かみさんも同じことを考えていたみたいだ。

しかし、そのトレースはアカエゾマツの人工林の中を抜けて、そのまま山へと登り始めていた。
巨木の現れそうな気配は全くない。
森の木々の間から、夕日で赤く染まった恵庭岳の姿が少しだけ見えていた。

どうやら、来る場所の選択を間違えたようである。
もう一度湖畔まで行っていれば、素晴らしい風景を見られたに違いない。

結局、20分ほど登ったところで、諦めて引き返してきた。
後で調べたところ、このトーレスはどうやら鳴尾山と言う山へ登っているものらしかった。

通行止めの道道に続いていたトレースの方は、更に奥の丹鳴岳に登っていたのだろう。
冬にこんな所でキャンプする人は殆どいないが、こんな所の山に登る人は沢山いるようだ。

テントまで戻ってきた時には、午後5時半近くになっていて、辺りも暗くなり始めていた。
気温はマイナス5度くらいまで下がっていたけれど、風も完全に止んで、それ程寒さは感じない。

この後はテントの中に籠ってワインを飲む。
かみさんが作ってくれたつまみは、カマンベールチーズを温めて、それに生クリームとチリトマトを加え、チーズフォンデュの様にクラッカーに付けて食べるのである。
カマンベールチーズの皮のおかげで、中身が流れ出すことも無く、焦げた皮の部分が香ばしくなって、最後まで美味しく食べられる優れものだった。

美味しいつまみにワインも進み、酔っぱらって巨木の精気を感じることも無く、寝込んでしまった。


巨木の下で眠る


翌朝は、湖から昇る朝日を眺めるつもりでいたが、あいにくの曇り空。
それでも、落としたコーヒーをポットに入れて、それを湖畔で飲むことにする。

雲は薄かったけれど、靄がかかって山の姿が全然見えない。
この日はPM2.5 の濃度が高くなって、その影響があったようだ。


湖畔で朝のコーヒータイム


湖岸でのコーヒータイムを楽しんで、テントまで戻る。
森の中も何となく霞んで見えて、昨日の様に太陽の光が射し込む森とは、また違った表情を見せてくれる。


森の中も少し霞んでいた


ゆっくりと朝食を済ませてから撤収開始。
午前9時過ぎにはすべての撤収を終え、そこから駐車場所まで30分かけて歩いて戻る。

この日の札幌も最高気温は6度近くまで上がっていた。
明日から3月。
3月に入っても気温の高い日が続くようで、今年の北海道は例年になく早い春の訪れとなりそうである。



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