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東北の旅(浄土ヶ浜と龍泉洞)

黒崎オートキャンプ場(6月19日~20日)

朝目覚めて、スマホに入っていたニュースを見て、びっくりした。
昨日の夜、山形県沖を震源とする地震が発生し、新潟県で震度6強、4日前に私たちが泊まっていた山形県鶴岡市では震度6弱を記録したとのことである。
8年前の津波の跡を目にしたばかりだったので、自分たちの滞在している時でなくて良かったと胸をなでおろした。

夜中に少し降った雨と、内部の結露でテントはびしょ濡れ。
それでも、かみさんが快適な炊事場で食事の準備や片づけをしている間に、私はテントの水滴をふき取り、何時も通りに朝7時には船越家族旅行村を後にした。

山田町
美しい海は巨大な防潮堤により遮られてしまった


まずは、津波被害の酷かった山田湾の周辺を走ってみる。
ここでも巨大な防潮堤が作られ、その内側は公園化されていた。
震災前はそこにも沢山の家が建ち並んでいたのだろう。

山田町
公園化された防潮堤の内側、震災前は沢山の家が建っていたのだろう


湾の中に浮かぶオランダ島の周りには沢山の養殖いかだが並んでいる。
ここは三陸沿岸有数の牡蠣産地らしく、漁業の復旧は順調に進んでいるようだ。

山田湾
山田湾に浮かぶオランダ島の周りには沢山の養殖筏が浮かんでいた


道路を走っていると、山田湾の入り口は本当に小さくしか見えない。
そこから巨大な津波が入って来るとは誰も想像していなかったことだろう。

山田湾
奥に見えるのが山田湾の小さな開口部、ここから湾内に巨大津波が入って来たのだろう


山田町、宮古市の津波の爪痕を見ながらやって来たのは、浄土ヶ浜。
ビジターセンターの駐車場に車を停めて、海岸沿いの遊歩道を歩いて行く。
ここの遊歩道も震災の後に新たに整備されたものなのだろう。

浄土ヶ浜
海岸沿いの遊歩道からは美しい海岸風景を楽しめる


遊歩道からは、ここまで見てきたのとは正反対の美しい風景を眺めることができる。
自然は、時には牙をむくこともあるけれど、その姿は本当に美しいのである。

浄土ヶ浜
鋭く尖った流紋岩が特徴の浄土ヶ浜の風景


青空が広がり、美しい海の風景を更に美しく演出する。
今回の旅で東北入りした時、三陸沿岸は暫く曇り空の天気が続きそうだったので、先に日本海側へ回ることに予定を変更したのである。
浄土ヶ浜のこの美しい風景を見られただけで、その変更は大正解だったと思えた。

浄土ヶ浜
浄土ヶ浜の海岸を歩くかみさん

こんなことをしていた


遊歩道の途中にあるマリンハウスでは、一人1500円で小さなさっぱ船に乗ることができ、青の洞窟や浄土ヶ浜の美しい風景を海上から眺めることができる。
ここで1500円をケチったのは、ちょっと勿体なかった気がした。

浄土ヶ浜
天気の良い時に浄土ヶ浜に来られて良かった



浄土ヶ浜の風景にすっかり癒され、次に目にしたのは津波遺構として残された「たろう観光ホテル」。
このギャップの大きさが、現在の三陸観光の醍醐味と言っても良いかもしれない。
自然の恐ろしさと美しさを同時に知ることができるのである。

たろう観光ホテル
高さ17mを越える津波で4階まで浸水したたろう観光ホテル


三陸沿岸の各地で、この様な震災の跡を残すか撤去するかで議論されているようだが、直接被害に遭われた方にとっては見るのも辛いものなのかもしれないが、津波の恐ろしさを広く伝えるためには、私としてはできるだけ残して欲しい気がする。


確かに懐かしい味だった田老かりんとう

その近くに去年オープンしたばかりの「道の駅たろう」の中を歩いていると、そこで売られていた「田老かりんとう」を「あった、これだこれだ」と言いながら買い物かごにどんどん放り込んでいる男女がいた。

私たちが興味を示すと「これ、美味しいんですよ」と説明してくれる。
私たちも勿論「田老かりんとう」を一袋購入。
その後も、その男女は色々と買い込んでいたので、それを見る度に私たちも同じ商品をチェックして回ったのである。

次に近くの観光名所「三王岩」を見に行く。
この三王岩も遊歩道を歩いて近くまで行くことができるみたいだったが、こちらは展望台から眺めるだけにしておいた。
それは、次の場所に早く行きたかったからである。

三王岩
三王岩は上から眺めただけ


その目的地は、日本三大鍾乳洞の一つである龍泉洞。
2年前に高知県の龍河洞、今年の4月に山口県の秋芳洞の二つを見ていたので、この龍泉洞で三大鍾乳洞制覇となるのだ。
龍泉洞のレストランで軽く腹ごしらえしてから、その中へと入る。

百間廊下と呼ばれる幅が狭い板張りの洞窟を進んでいく。
この板張りの下を川が流れていて、昔は舟に乗って洞窟の中を観光していたらしい。

龍泉洞
板張りの下は川が流れ、昔は舟で観光していたということが良く分かる


龍泉洞の一番の見どころは地底湖である。
現在公開されているのは三つの地底湖で、一番深い地底湖では水深98mもあるらしい。

龍泉洞
通路から地底湖を覗きこむ


照明の関係で青く染まって見えるのだろうけれど、水も澄んでいてずっと深くまで青く染まって見える様子は神秘的でもある。

龍泉洞
地底湖を覗きこんでいると吸い込まれそうな気がしてくる


龍泉洞
転げ落ちそうな洞内の急な階段

洞内の順路は、地底湖を見た後は水面から35mの高さの三原峠を越えて地底湖の手前へと出てくるようになっている。
足腰に自信のない人は地底湖の前を引き返すようになっているが、当然ここは峠を越えるルートに進む。

これが本当に急な階段が続くルートで、足腰に自信がある人でも結構大変である。
でも、ここでしか見れない風景もあるので、無理をしてでも登った方が楽しめるだろう。

この洞窟にはコウモリが生息していて、夕方になると一斉に洞窟の外へと飛び出していくらしい。
そんな光景もちょっと見てみたい気がする。

残念なのは、折れた鍾乳石が少し目立ったことである。
折れたのは多分かなり昔のことなのだろうが、それが元に戻るためにはまた何十年、何百年の歳月がかかることになるのだ。

龍泉洞
峠を越える途中で地底湖を見下ろせるポイントがある


この龍泉洞の前を流れる川もなかなか美しい流れである。
ここでは釣りもできるようで、2000円で日釣り券が売られている。
暇そうな釣り場の管理人さんらしき人が竿を出していたが、見ていても全く釣れる様子がない。
釣りができるのはこの区間の1000mだけで、これで2000円も払って一匹も釣れなかったら、金返せと言われそうだ。

龍泉洞
龍泉洞前を流れる渓流、魚影は薄そうだ


ポツポツと雨粒が落ちてきたので慌てて車へと戻る。
レーダー画面を見ると東北南部には雨雲が広がっているけれど、その他ではこの辺りにだけピンポイントで雨雲が写っていた。
確かに直ぐ近くの空には真っ黒な雲が広がってきていた。



この日泊まるのは、三陸海岸の黒崎オートキャンプ場。
天気予報ではこの日は雨が降りそうだったので、二日前に近くのバンガローを予約してあった。
それが、意外と天気が良くなりそうなので、昨日バンガローをキャンセルして、黒崎オートキャンプ場に変更したのである。
それで雨でも降られたら堪らない。
急いでキャンプ場に行って、雨が降ってくる前にテントだけ張っておくことにした。

午後2時過ぎにキャンプ場に到着。
電話をした際に「管理人が常駐していないので、好きな場所にテントを張っていて下さい」と言われていた。

黒崎オートキャンプ場
緑に包まれた良いキャンプ場だ


ここはオートサイトが2000円、フリーサイトが1人300円と、リーズナブルなキャンプ場である。
場内をぐるりと一回りしたけれど、やっぱりオートサイトが利用しやすいので、一番長めの良さそうなサイトにテントを設営。
今回の旅で利用したのはバンガロー泊の時以外は全てオートサイト。
毎日移動しながらのキャンプでは、少々料金が高くてもやっぱりオートサイトが便利なのである。

テントを張り終えてから、陸中海岸の景勝地「北山崎」を見に行く。
駐車場から簡単に歩いて行ける第一展望台は、団体客で賑わっていたので、その横を素通りして第二展望台へと向かう。
363段のアップダウンのある階段は結構大変だが、苦労した分素晴らしい展望を楽しめる。
ガスがかかり、通称海のアルプスと呼ばれる高さ200mの断崖絶壁が続く風景が霞んでいたのが、残念だった。

北山崎
北山崎第二展望台からの眺め


そこから第一展望台へ戻る途中、波打ち際まで降りることのできる分かれ道があった。
「波打ち際まで510段」と書かれているの見ると、さすがにそこに足を進める気にはなれなかった。

団体客のいなくなった第一展望台からの眺めは、やっぱり第二展望台よりは見劣りするものだった。

キャンプ場の近くにも高さ200mの断崖からの展望を楽しめる黒崎展望台があるので、そちらにも寄ってみた。
ここから眺める断崖が続く海岸線の風景は、比較的穏やかな感じである。

黒崎展望台
黒崎展望台からの眺め


そしてこの後、国民宿舎くろさき荘で風呂に入る。
フロントのおじさんが面白い人で、ここの温泉から撮影したと言う親子熊の写真を見せてくれる。
ただ、つまらない冗談を連発するので、それに付き合うのが少々面倒だった。

キャンプ場に戻ると、テントの前で管理人さんが待っていてくれたので、そこで料金を支払う。
場内には手頃な枯れ枝が沢山転がっているので、早速それを拾い集める。
こんなキャンプを続けていると、その日の夜と翌日の朝の焚火で燃やし尽くせるだけの薪の量が、大体見当がつくようになってくる。

黒崎オートキャンプ場
高低差のある場内なのでテントを張る場所によって雰囲気がかなり違ってくる


緑に包まれ、鳥の鳴き声が響き、なかなか快適なキャンプ場である。
東北の旅で利用した中では、環境的にはここが一番だろう。

夕食を済ませ、早速焚火を始める。
雨雲の用椅子が気になってレーダー画面を確認すると、東北の北側にも雨雲がかかっていて、私たちのいる辺りだけが上手く雨雲を避けられていたようだ。

黒崎オートキャンプ場
結果的にこれが東北旅行最後の焚き火となった


遅くなってから徒歩のおじさんがやってきて、私たちの近くにテントを張った。
歩く旅をしているのだろうが、その割には荷物はかなり少なめだ。
食事を作る様子も無かったので、全て外食で済ませ、必要最低限の荷物しか持っていないのかもしれない。

朝も早くて午前4時過ぎにはテントを撤収して出かけていった。
朝5時には管理人さんがやって来た。
まさかそれを知っていて、早く出ていった訳ではないだろうが、ちゃっかりとオートサイト料金2000円を払わずに済ませたのである。

東北の旅も後1泊を残すだけになった。


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