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灼熱の川原流れ星キャンプ

歴舟川の川原(8月12日~13日)

我が家恒例の歴舟川川原キャンプ。
張り切って大樹町までやってきたけれど、そこで目にしたのは濁流と化した歴舟川だった。
慌てて歴舟川の水位計データを確認したところ、前日の夜に上昇した水位は朝にかけて減ってきていたけれど、それがまた昼にかけて上昇してきているのだ。

歴舟川
大樹橋の下から見た川の様子


水が少な過ぎることを心配していたのに、こんな事態は全くの想定外だった。
前日、台風崩れの低気圧が道北の方に大雨を降らしていたけれど、十勝の方では雨は殆ど降っていなかった筈である。
平地では降らなくても、川の様子を見ると日高山脈には結構な雨が降ったようだ。
これだから歴舟川は恐ろしい。

大樹橋とふるさと大橋の上から川の状況を確認する。
大樹橋からふるさと大橋の間はそれ程でもないけれど、ふるさと大橋の下流には白波の立つ流れが見えていた。
それでも、上流の尾田観測所の水位は下がり始めているし、川下りを諦めるほどの状況ではなかったので、予定通り歴舟川の川旅を決行することに決める。

歴舟川
ふるさと大橋の上から上流方向を見た様子


大樹橋の下にカヌーやキャンプ道具を下ろして、車で河口に向かう。
そしてタクシーを呼んで迎えに来てもらう。

歴舟川の増水の他に、今日はもう一つの問題があった。
とにかく気温が高いのである。
大樹町では前日に最高気温34.5度を記録し、この日も気温は既に32度を超えている。
タクシーの待ち合わせ場所には大きな樹木の日陰があったので助かったが、もしも炎天下でタクシーを待っていたら、川下り前に干からびてしまうところだった。


大木の日陰でタクシーを待つ


大樹橋まで戻ってきて、途中の川原で食べる予定だったコンビニの冷やしラーメンを橋の下で陽射しを避けながら食べることにする。
何せ、一度川下りを始めてしまうと、この先何処にも日陰は無いのである。
2年前の川原キャンプの時も気温が高くて、灼熱の川原で干からびていたけれど、その時は30度は超えていなかったはずだ。

歴舟川
大樹橋の下から出発


そして昼食を終え、午後12時40分に濁流の歴舟川へと漕ぎ出す。
大樹町から下流をこの水量で下るのは始めてである。
大樹橋から直ぐ下流の川底が岩盤になっている瀬は、何時もならば座礁しないようなルートを探すのに苦労するところだが、今日は全くそんな苦労は無い。
波の高さもそれ程ではなく、緊張しながらも無事に下ることができた。

問題はその先、ふるさと大橋の下流に見えていた瀬である。
遠くからでも白波が確認できて、そこを下れるかどうかが気になっていたのだ。
瀬の直前で上陸して入念にスカウティングし、それで決めたルートをかみさんと再確認する。

歴舟川
ふるさと大橋から見えていた瀬は、スカウティングして下るルートを決めていた


そうしてその瀬をクリアし、次の瀬の前で再び上陸しスカウティング。
キャンプ道具を満載したカヌーでは絶対に沈できないので、何時も以上に慎重に下らなければならないのだ。
ここは、テトラが絡んでいて、水の少ない時でも緊張させられる瀬である。
かみさんは心が折れそうになって、今にも泣き出しそうな顔をしている。
幸いここは、右岸側に比較的安全に下れそうなチキンルートがあった。
忠実にそのチキンルートを下って、問題なくクリア。

歴舟川
テトラの絡む瀬をスカウティング、右岸側を下れば問題無さそうだ


その先には、去年下っている時に座礁して危うく沈するところだった、岩盤の露出している瀬があったはずだ。
そこもスカウティングするつもりでいたけれど、前に見えている流木をかわすことに気を取られていたら、その流木の先にいきなり激しい瀬が現れた。
岸に上がるには既に遅すぎるので、そのまま下っていくしかない。
右と左に大きな波がっているので、比較的波の小さい真ん中を漕ぎ抜ける。

歴舟川
左の波に捕まっていれば危なかったかもしれない


左の大きな波に突っ込んでいれば沈は免れなかっただろう。
今日はこれ以上下り続けるのは止めて、早々にキャンプ地を決めた方が良さそうだ。(ここまでの川下りの動画



そうして最初に上陸した川原がキャンプ地にするのに丁度良い川原だったので助かった。
テントを張る場所を探していると川原の向こうに馬の群れが見えていた。
見覚えのある風景である。
それでここの川原が去年の川旅でテントを張ったのと同じ川原であることに気が付いたのである。
ただ、何処にテントを張ったかまでの細かな記憶は無く、そもそも流木など川原の状況も変わっていそうだ。

歴舟川
河口まで下った中ではここが一番野営地に適した川原だったと思う


太い流木の横を生活スペースとし、テントは少し離れた砂地に張ることに決める。
強烈な日差しに照らされながら黙々と設営を進める。
風が少し強いのが幸いした。
もしもこれが無風だったとしたら、暑さで倒れていたかもしれない。

歴舟川
今年の野営地


一通り設営を終えたところでビールを空け、川の中に首まで浸かってクールダウン。
茶色く濁った水も全く気にならない。
しかし、増水して流れも速いので、川の中で泳げないのが残念だ。

歴舟川
かみさんは大人しく足だけ浸けていたけれど私は全身で浸かった


太い流木の両端に上手い具合に2本の細い流木を立てることができて、そこにロープを張ると丁度良い物干しになった。
川原キャンプの時は川下り用のウェアを干しておく必要があるので、その場所の確保は結構重要なのである。
流木の枝をそのまま利用することもあるけれど、今回は最高傑作の物干しだと一人悦に入った。


最高傑作の物干し


川原キャンプの楽しみの一つは焚き火だけれど、これだけ暑いとなかなか焚き火をする気にもなれない。
ようやく5時頃になって、かみさんが調理用のミニ焚き火を始めたけれど、離れていてもその熱が伝わってくる気がする。
燃やすものは大量にあるので、もっと離れたところにある大焚き火にも火を付けたが、その炎を見ているだけで暑くなってきそうだ。

歴舟川
焚き火が罰ゲームのように感じる


私は流行のメスティンでトマトご飯を作ってみる。
以前の我が家のキャンプでは飯炊きは私の役割だったけれど、最近はレトルトご飯で済ませることが多くなり、キャンプでの炊事に私の役割は全くなくなってしまった。
それがメスティンを購入したことで、再び私の役割が復活したのである。
炊き上がったトマトご飯は少々芯があって失敗作に近かったけれど、かみさんが「明日の朝リゾットにできるから」と慰めてくれた。


私が担当したトマトご飯はイマイチだった


夕食の後はサンセットショーの時間だが、ここの川原は河畔林の中に日が沈むので美しい夕日は見られない。
野営地として考えた場合、それだけがここの川原の唯一の欠点である。

その後は離れた場所から焚き火を囲み、本日のメインイベントが始まるのをひたすら待つ。
今回の川原キャンプの一番の目的はペルセウス座流星群を見ることである。

歴舟川
夕陽は左の河畔林に隠れてしまう


これには今まで何度かチャレンジしているけれど、その度に月明かりに邪魔されたり雲がかかったりと満足する結果は得られていなかった。
それが今回は、月が昇ってくるのは午後11時頃、そして天気は最高。
またとないチャンスである。

歴舟川
焚き火からはかなり離れないと暑くてたまらない


今回はそのためにインターバル撮影の準備もしてきていた。
定めた間隔で自動的にカメラのシャッターが切られるので、カメラを流星群の放射地点の方に向けておけば、運が良ければ流れ星が写るだろうとの魂胆である。

次第に濃い青色へと変わっていく南の空に、一際明るい星が輝いていた。
木星である。スマホのアプリで調べてみると、木星と並んで輝いているのは土星のようだ。

歴舟川
明るい木星とその左に見える土星


カメラのセッティングを済ませ、後は流れ星が流れ始めるのを待つだけだ。
この辺りは帯広空港で離発着する飛行機の通り道になっているのか、点滅する光が頻繁に空を横切っていく。

私がカメラに気を取られている間に、かみさんが最初の流れ星を見て歓声を上げた。
毎度のことだけれど、かみさんは何時も私の倍の流れ星を見ているような気がする。


天の川もくっきり見える、線が写っているのは全て人工衛星


空は次第に暗さを増し、漆黒の空に天の川がくっきりと浮かんでくる。
流れ星の数も増えてきた。
時々、空を横断するくらいに流れる流れ星もある。
これならばお願い事を3回唱える時間もありそうだ。


かろうじて1枚だけ写っていた流れ星


カメラを放射地点に向けたまま撮影を続けていれば良かったのだろうが、木星やさそり座も美しく、時々カメラの向きを変えては撮影していると、結局400枚近く撮影した中には、画像補正してかろうじて分かるようなかすかな流れ星が数枚写っていただけだったのである。
そんな結果になるとは露知らず、流れ星撮影はカメラにまかせっきりで、じっくりと美しい星空を楽しむ。

歴舟川
最高のキャンプの夜だ


何時までもそんな星空を眺めていたかったけれど、酔いも回ってテントへと潜り込む。



翌朝は金星と月が並ぶ様子も見たかったけれど、目が覚めた時には既にテントの中は明るくなっていた。
「寝坊しちゃったな」と思いながらテントの入り口を開けると、目に飛び込んできたのは真っ赤に染まった雲である。
慌てて外に飛び出すと、素晴らしい朝焼けの空が広がっていた。

歴舟川


歴舟川


かみさんが釣りをしたいと言うので竿の準備をする。
川の水位は前日からかなり下がっていたけれど、水はまだ少し濁り気味だ。
野営地の前は流れが速すぎるので、少し下流のエディで釣った方が良いとアドバイスする。

カメラを持って後を追うと、かみさんは早くもウグイを釣り上げていた。
そのウグイを逃がして竿を出すと、また直ぐに今度はニジマスが釣れてきた。
すっかり得意顔のかみさんである。

歴舟川
川原キャンプでは釣りも楽しみにしているかみさん


その後はあたりも無くなり、私に代わっても浮きはピクリともしない。
これ以上釣れたとしても朝飯では食べきれないので、釣りはここで終了。
このニジマスはホイル焼きとなって朝の食卓に並ぶこととなる。

歴舟川
キャッチ&イートが我が家のスタイル


雲の陰から太陽が姿を現すと、川原の気温は一気に上がってくる。
風も吹いていないので、昨日の到着時よりも暑く感じる。
そんな中、噴出す汗をこらえながら朝食を済ませ撤収作業開始。
昨日はそんなに気にならなかったアブや蚋の襲撃も始まる。
なかなか過酷な撤収となった。

歴舟川
お世話になった川原を後にする


午前8時20分、川の上に出てやっと一息つけた。
川の水は本来の透明度はないものの、茶色く濁ってないだけで気分的にはかなり違う。
瀬の中で波に煽られても昨日のように緊張することもない。
水量も十分で、川下りするにはベストの状態と言っても良さそうだ。
水が少ない時は、分流の選択を間違えると悲惨なことになるが、今日の水量ならば選択を間違えても座礁して苦労することもない。

歴舟川
少しアブが煩いけど、昨日よりは格段に快適に下れる


野営地に良さそうな川原があるとその度に上陸して様子を確かめる。
しかし、眺めが良くて、焚き火用の流木が沢山あって、テントを張るための平らな場所もあって、そんな川原はそうそう見つからない。

歴舟川では2年前に、大規模な川原の流木撤収作業が行われていて、重機の入った跡はまだあちらこちらに残っている。
それも野営地向けの川原を少なくしている原因の一つである。
この状態をリセットするためには、一度大増水しなければならないのだろう。

歴舟川
下流に行くほど雄大な風景を楽しめる歴舟川だが野営適地の川原はなかなか見つからない


丹頂の姿も沢山目にした。
野営地でも近くの藪から丹頂の鳴き声が聞こえていたけれど、下っている途中で3羽の親子、4羽の親子の姿を川原で目撃した。
それ以外に1羽で飛んでいる姿も見ていたし、歴舟川周辺ではかなりの数の丹頂が生息しているようだ。

目の前でオジロワシがやけに低空飛行しているなと思ったら、水面のカモの親子を狙っていたようだ。
本当に大自然の中を下っているような気分である。

歴舟川
丹頂の姿を目にすることも多かった


歴舟橋の下を通過する時、橋の工事の関係で引かれていたケーブルに引っかかりそうになって冷やりとさせられる。
その後は特にこれと言った難所もなく気持ち良く下り続け、やがて前方に海が見えてきた。
歴舟川は海に出るまで傾斜が続くので、河口のかなり手前から海の姿が見えてくるのである。

車を停めてあった近くに荷物を降ろし、身軽になったカヌーで最後に河口を目指す。
例年の歴舟川は、河口の手前が大きなプールとなっていて、川の本流は少し迂回しながら海へと流れ出る。
それが今回は、本流がそのまま真っ直ぐに海に流れ出ていたので、目の前に突然太平洋の大波が見えてきた。
そのまま流れに押されて海に出てしまうのが怖いので、河口のかなり手前で岸に上がり、最後は歩いて河口へと出た。

歴舟川
目の前に見えてきた太平洋の大波にビビって河口手前で上陸


増水と暑さに翻弄された今年の川旅だったけれど、途中でテント泊をして最後に海に出る川旅はやっぱり最高だ。
今年は河口部の広い川原を河口の直ぐ横まで車を乗り入れることができ、カヌーの積み込みも楽だった。
最後にパンツ1枚になって川に飛び込み、二日分の汗を気持ち良く洗い流したのである。

歴舟川
最後まで天気に恵まれたまま川旅を終えることができた


歴舟川本町観測所水位 8月12日12:00 61.79m
8月13日09:00 61.64m



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