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大黒山(2018/02/03)

拾い物のパウダー

私たち夫婦が雪のたっぷりと積もっている道北で遊んでいる間、相変わらず札幌周辺では雪が降らず。
そんな中でも余市の方では数日前に少し降っていたようなので、週末のカヌークラブスキーツアーは大黒山に決定。

大黒山は駐車スペースが少ないのが難点なのだが、この日は先客の車が1台あるだけで、私たちのグループの車3台は難なく停めることができた。

参加者は11名。
70オーバーチーム4名も混ざって参加者の体力は様々。
私は普通のペースで登っているつもりだが、自然と元気な人、普通の人、遅い人の三つのグループに分かれてくる。
勿論かみさんは元気な人グループ、私は普通の人のグループである。


細いスノーブリッジを渡る

今回は何時もとは違うルートから登ってみるつもりだった。
途中の沢の分岐で、恵比寿山へ向かう方の沢へと入っていくのである。

北海道雪山ガイドにこのルートは載っていないので、以前はあまり人が入っていなかった気がする。
それが、ヤマレコの記録を見ると、最近はこちらの方にも結構入っているようなのだ。
私たちが跡を追っていたトレースも、そのまま恵比寿山の方の沢に向かっていて、通常ルートで登っているトレースは見当たらなかった。

途中で小さな沢を横切る。
倒木が核となってできた細いスノーブリッジがかかっていたので、冷や冷やしながらそれを渡る。

この新しいルートは沢の右岸を暫く進むのだが、高度がなかなか上がっていかない。
小さなアップダウンも多くて、スノーボートのO橋さんとK岡さんが「ここって帰りに苦労するんじゃないの?」と心配していた。
二人とも大黒山は今回が初めてなのである。
私は「大丈夫ですよ、帰りはスーッと一気に滑れるはずだから」と答えてはみたけれど、確かにここはスノーボードではスーッとはいかないかもしれない。


沢に沿ってひたすら歩く

K岡さんは「登りで修行するのは良いんだけど、帰りが修行になるのは嫌なんだよな~」とつぶやいている。
私は「スノーボードの人も登っているみたいだから大丈夫じゃないの」と適当な慰めを言っておいた。

途中のちょっとした登り返しのところに、スノーシューのものと思われる足跡が残っていたのだ。
その足跡にはK岡さんも気が付いていたようである。

K岡さんは雪の上を歩く小さな虫を見つけて驚いていた。
それはセッケイカワゲラの成虫で、私も初めて見たときは驚いたものである。

それにしてもK岡さんは、髪の毛から汗を滴らせてヒーヒー言いながら登っているのに、スノーシューの足跡や雪の上の小さな虫にも気が付いていた。
職業柄からくる観察力の鋭さなのだろうと感心してしまう。
一緒にヒーヒー言っているO橋さんは、足跡にも虫にも全く気が付いていないのである。

ようやく沢も雪に埋もれて登りやすくなってきた。
そしてここから本格的な登りが始まるのだ。

正面に見えているオープン斜面は、その途中に雪崩れた跡のような雪面の段差が確認できる。
「ここって、やばいんじゃないの?」
皆の心に不安が芽生えてくる。

先頭のマリオさんは、そんなことはお構いなしにトレースに沿って登っていく。
「止めた方が良いんじゃないのか?」と言う人もいたが、それよりも問題は、そのトレースが本当に大黒山を目指しているものかどうかである。
恵比寿山から大黒山へと縦走するツアールートも存在するのだ。

そのトレースとは別に、私たちの場所からは見えない他の斜面を滑り降りてきた人達が再び登り返しているトレースもあった。
方向的にはそちらの方が大黒山へ向かっていそうで、森の中に入って雪崩の心配もなさそうなので、そちらのトレースの方を登ることにした。


 
一気に傾斜が急になる。
途中で休憩して再び登り始める。
森の中を抜けてオープン斜面へと出てきた。
数本のトラックがあるものの、よだれが出そうな斜面である。
先を登っていた人たちは、それを見てさらにギアが入ったようである。


一方、70オーバーチームの中には「ここら辺りから滑り降りても良いんじゃない」と言い始める人も出てきた。
登り始めてから既に2時間以上経っていて、そこから更に上へと続いている斜面を見ると気が萎えるのも無理はない。

他の人達は更に上へと登っていく。
何時の間にか後ろには日本海が見えていた。


かなりの急斜面だけれど、既に滑った人もいて、雪崩の危険は少なそうだ。
最後の降雪から3日は経過しているので、雪も安定しているはずである。
と思っていたら、雪面に入っている亀裂を見つけてビビってしまう。


直ぐ上で雪面が大きく開いている

不気味な亀裂も


 
先に登っていた人達がシールを剥がし始めていた。
何時もと同じく滑ることしか考えていないので、無駄な登りは一切しないのだろう。
と思ったら、そこの直ぐ上で雪面が1m以上の幅で、地面が見えるくらいにまでパッカリと開いていたのである。
これではそれ以上先には進めない。

マリオさんは雪崩れる心配は無いと言うけれど、足元を踏み固めているとその衝撃でズルッと雪が動くんじゃないかと心配になってくる。
ここで雪崩れるとしたら全層雪崩だろうから、もっと気温が上がった時は心配かもしれない。

それでも、そこで長い間留まっていたくなかったので、準備ができたらサッサと滑り降りることにする。
かみさんも直ぐに、私の後を追って滑り降りてきた。


左側を滑り降りれば下が見えているので安心できる


安全そうな場所で止まってカメラを構える。
雲の切れ間から日が射してきた。

何時もならば一気に滑り降りてくる人たちも、今日はかなり慎重になっていた。
何せ、斜面が急すぎて、上からは下の様子が全く見えないのである。
それでも、安全を確かめた後は、豪快に斜面を滑り降りる。


最近は雪が降っていなくて、半ば諦めてやって来たのだけれど、予想外のパウダースノーである。
ボードの二人も、帰りのことは全く忘れているかのように派手な雪煙を上げ、「最高ーっ!」と叫びながら滑っていく。




70オーバーチームはその1本だけで、下まで滑り降りていったが、残りのメンバーはまだ満足できないようである。
斜面の途中から、標高差約100mを15分もかからずに登り返す。

そして各自思い思いのルートでオープンバーンを滑り降りていく。
陽射しは無くなってしまったけれど、視界が効くので助かった。
ここの斜面は所々でうねっているので、雪が降って視界が悪かったりすると、そこでバランスを崩しそうだ。


斜面の終わり、沢の源頭まで滑り降りてきて、後は車まで戻るだけ。
そしてここからがボードの二人の苦行の始まりだった。


置いていったら可哀想なので、私は二人の後に付いて最後尾を滑ることにした。
しかし、あまりにも時間がかかるものだから痺れを切らし、途中で追い抜いてしまう。

結局、ボードの二人が下りてきたのは、私たちが車に戻ってきてから40分後だった。

それも、スノーシューを履いて歩きながらの下山である。
滑り降りるのは早々に諦めたみたいだ。

あれだけ楽しそうに滑っていたO橋さんの「俺の目の黒いうちは2度と大黒山には来ない」との言葉を残して、楽しかった今日の大黒山ツアーは終了したのであった。





 


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