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三段山(2018/03/18)

まずはフィールドに出てみよう

先週の前十勝に続いて再び訪れる吹上温泉白銀荘。
「十勝岳で30センチ近く雪が降ったみたいですから、先週のリベンジをしましょう」
I山さんのそんな誘いに乗ってしまったからである。

しかし、望岳台付近での降雪は15センチにも満たず、2日前に雪が降った後に風が吹いているので、積もった雪も全て吹き飛ばされているような気がした。
それに、前回は天気が良くて滑りも結構楽しめていたので、リベンジと言う気も湧いてこない。

それでも、風に飛ばされた雪は沢に溜まっているとか、きっと良いことがある気がするとか、I山さんやO橋さんの全く根拠のない能天気なポジティブさに誘われて2週連続で白銀荘まで来てしまった。

天気は良かったけれど、雲の流れがとても速い。
駐車場付近では風はそれほど吹いていないが、雲の流れを見れば、山の上の方の風の強さは容易に想像がつく。

前回は真っ白な雪面だった前十勝の斜面も、麓から見上げると縞模様が入っているように見える。
予想していた通り、そこに積もった雪が吹き飛ばされ、その下の硬い雪面が所々で露出しているのだろう。
そしてその斜面を20名くらいの団体がぞろぞろと登っていくのも見えていた。

三段山クラブの人達も来ていて、彼らは前十勝を目指すようである。
私たちも前十勝に登るつもりでいたけれど、O橋さんが「前十勝は先週も登っているよね~」と言い始めたので、急遽三段山に変更。
やっぱり、先に登っている団体さんの存在が気になったようである。

昨日から今日にかけても新たな雪が降ったみたいで、昨日のトラックは半分くらい埋もれていた。
1段目の壁も、デコボコして見えるけれど、ズタズタに荒らされた斜面を見るよりは気分が良い。


新たに積もった雪は、本物のふわふわパウダー。
木々も真っ白に雪化粧し、3月中旬とは思えない真冬の風景が広がる。
 


1段目を登る

雪化粧した木々


1段目を登り終えても、先頭のI山さんは休まずに登っていく。
何時もならばこの辺りで休憩して遅れているメンバーを待っているところだ。


隣に見える前十勝

今日の参加者は7名。
遅れている人は誰もいなく、写真を撮っている間に私が置いていかれそうなくらいで、ペースは何時もより速い。

隣に前十勝が見えてくる。
団体ツアーの姿は確認できず、既に滑り降りたのだろうか。
その割に斜面はあまり荒らされている様子はない。
もしかしたらスノーシューで登る登山ツアーだったのかもしれない。

50分ほどで2段目まで登ってきた。
尾根に上がると見えてくる富良野岳の姿に感動。
今年の新年会で登った時も、思わず歓声を上げたところである。


富良野岳が見えてくる

 
上空には素晴らしい青空が広がり、三段山の山頂もくっきりと見える。
ただ、風は強いようで、飛ばされた雪が稜線上で舞っているのが見えていた。

風の当たる場所に出る前に、脱いでいたジャケットを着こむ。
2段目を登った先は、雪が飛ばされて固い雪面の露出していることが多い。
そんな状況を覚悟していたけれど、意外と柔らかい雪が付いていた。

しかし、右手に見える尾根の斜面は雪が飛ばされ見るからにガリガリである。
その手前の沢には飛ばされた雪が溜まっているけれど、あまり楽しく滑れそうにはない。

左手には前十勝や十勝岳などの荒々しい姿が立ちはだかる。
冬山の山岳景観は本当に美しい。


天気が良いので、たまには山頂まで登ってみようかとの話が出てくる。
「山頂まで登った時に見えるカミホロカメットク山の姿は最高だよ」

私がそう言うと、baubauちゃんが俄然張り切り始めた。
クラブのツアーでは滑るのが目的の人が多く、わざわざ山頂まで登ることは滅多にないのである。

三段目の斜面が始まる前に、私は念のためスキーアイゼンを装着。
かみさんはアイゼンを忘れてきていたが、結構雪が付いていて、固い雪面が露出しているようなところでも表面がざらざらしているので、それほど苦労せずに登れていた。

O橋さんが「本当に山頂まで行くの?」と渋り始める。
I山さんは、尾根を越えて西の谷を滑るつもりだったので、「とりあえず尾根まで登ってから考えましょう」とのことに。

「尾根まで登ったらカミホロカメットク山も見えるよね」
私がそう言った途端、あれだけ「山頂まで登る」と張り切っていたbaubauちゃんが、「な~んだ、それなら尾根までで良いね」と急にトーンダウン。
三段目を登っている途中で、山頂まで行こうなんて言ったことを後悔していたらしい。

他の登山者が山頂目指して登っていく中、私たちは尾根を目指して右へと進路変更。
そして標高1620m辺りで尾根を越えて、西の谷へと入る。

今回登ったコースは、途中でそれほどの急登もなくて、なかなか良いルートである。

そこから山頂へと続く稜線目指して最後の一登り。
標高1670m付近の稜線に出て、そこから見えた光景に皆が歓声を上げた。

上ホロカメットク山から富良野岳へと繋がる、険しくも美しい山の連なり。
美しすぎる光景である。
風も思っていたほど強くはない。

「何だかイッテQ登山部の本格的山登りみたいだね」
誰かがそんなことを言っていた。
確かに、富良野岳をバックに皆で撮った写真は、凄い冬山に登ったかのように見えるのである。

そこから三段山山頂までは標高差およそ80m。
スキーやボードをそこにデポして、スノーシューやつぼ足で登れば直ぐである。
しかし、「山頂まで行こう」と口に出す人は一人もいなく、皆は直ぐに滑走準備を始めたのである。



まずはI山さんがビデオ撮影のために先に滑り降り、その後を私が負う。
風に飛ばされて吹き溜まった雪は表面が軽くクラストしている。

しかし、柔らかいのでそれ程苦労しないでターンできた。
後続メンバーも次々と滑り降りてくる。

次は私が先に途中まで滑り降りて、皆を撮影する。
沢は更に下まで続いているが、I山さんの提案でもう1本西側の沢を滑ることにして、そこからトラーバスしていく。

するとそこには、既に何本かのトラックが刻まれてはいるものの、なかなか良さげな斜面が広がっていた。
その上の稜線には別のパーティーの姿があって、これからこの沢を滑りそうな雰囲気である。
彼らには悪いけれど、私たちが先に滑らせてもらう。


最初に私が滑るが、これがなかなか上質のパウダーだった。
他のメンバーも気持ち良さそうにスプレーを上げている。

その沢は最後に西の谷と合流するのだけれど、その合流部の斜面がこれまた雪質も斜度も丁度良く、最高に気持ち良く滑り降りられた。

皆の口からは「最高ーっ」との言葉が発せられ、その顔には満面の笑みが浮かんでいる。
沢を下りたところでお昼の休憩。

周りの風景はまだ真冬だけれど、陽射しはもう春の暖かさである。


もしも今回のツアーに参加していなかったとしたら、どれだけ悔しい思いをしたことだろう。
あれこれと気を揉む前に、まずはフィールドに出てみること。
先週の前十勝に続いて、そんな気持ちの大切さを知ることとなったのである。



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