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目国内岳(2018/04/01)

雨にも負けず

山スキーへ出かけるのに、少しくらい天気が悪くても大して気にしないが、雨が降っているとさすがにテンションは下がってしまう。
倶知安の街中までやってくると、その雨も結構な降りになっていた。
ただ、気温は1度。山の上まで上がっていけば、この雨も雪に変わっているはずだ。

そんな予想通り、やって来た新見温泉は雪が降っていて、少しだけ新雪も積もっていた。
しかし、降っている雪はもう少しで雨に変わりそうな湿雪。

自称お天気の神様O橋さんからも、何時もの「晴れらかしますから!」との前向きの言葉が出てこない。
I山さんとかみさんは、「お腹の調子が悪い」と言い始める始末。

集まってきたメンバーは完全にやる気を無くし、このまま温泉に入って帰ることで意見はまとまりつつあった。
それに激しく抵抗したのがI上さん。
積もっている僅かな雪を手に取って「ほらほら、こんなに良い雪が積もっているんだから」。

少し遅れて到着したT津さんも、車からスキーを抱えて降りてきて「えっ?滑らないって?こんなに良い雪、滅多にないですよ!」
悪雪大好きなT津さんである。

さっきまでお腹の調子が悪いと言っていたかみさんまで、「これじゃあ登るしかないわね」と準備を始めた。

新見温泉の崩れかけた軒先の下で雨宿りしていた残りの8人は、そんな3人の様子を呆然と眺めていた。
そしてしばらくして、それぞれ諦めた様子で各自の車に戻っていったのである。

気温も高いので上着を1枚脱いで登りたいところだが、この湿った雪ではびしょ濡れになってしまうでの脱ぐことができない。
しょうがないので、中に来ていたものを1枚脱ぐことにした。


新見温泉の駐車場を出発



I上さんを先頭に林道を歩く

一番張り切っていたI上さんが、今日は先頭で登っていく。
昨日の積丹岳では、ガリガリの雪だったので、やる気がなさそうに一番後ろから登っていたのに、少しでも雪が良さそうだと俄然元気になるのだ。
本当に分かりやすい性格である。

何時も先頭で登っているI山さんは、今日は一番後ろから辛そうな様子で付いて来ていた。
本当にお腹の調子が悪いようだ。

この日、家に帰ってから体温を計ったら39度もあったらしい。
そんな体調でも山に登っているのだから信じられない。

雪は少し小降りになり、登るにしたがってそんなに湿った雪ではなくなってきた。
その代わりにガスが濃くなってくる。


雪は小降りになったがガスがかかってきた

 


ここから二つに分かれることに

今回は目国内岳の山頂まで登って、そこからの広大な斜面を滑ろうとの計画だった。
しかし、この天気では山頂まで登る意味がない。
それに何と言っても、I上さんはもう滑りたくてウズウズしている状態である。

登り始めてから1時間10分ほど経ったところで、I上さんが「これ以上登っても滑る価値のない斜面ですから、ここで1本滑って登り返しましょう」と言い始めた。

パウダーの時ならそれも分かるけれど、今日の雪は固く締まった雪の上に、湿った雪が5センチ程度積もっているだけである。
登り返してまで滑ろうと思えるような雪ではない。


ガスの中に消えていくかみさん

そこで、登り返してもう1本滑るチームと、ここからもう少し登って1本だけ滑って終わるチームに分かれることにする。
私たち夫婦他3名がもう少し登るチームとなる。

そうと決まると、かみさんがあっと言う間に先に登っていった。
今までは皆のペースに合わせてゆっくりと登っていたみたいだが、その制約を解かれた途端に何時もの速さで登り始めたのである。

60mほど登って862mポコにたどり着き、そこから滑り降りることにする。
ガスが更に濃くなってきた。

 


862mポコから滑り降りる




ガスで何も見えない

滑走準備を終えたところで、I上さんから携帯に連絡が入った。
雪崩がひどいので登り返さずにそのまま下まで降りるとのこと。

登ってくる時には雪崩れそうな感じはなかったけれど、固い雪の上に降ったばかりの新しい雪が乗っていれば、雪崩れるのは理解できる。

ガスが薄くなった瞬間を狙って私が最初に滑り、皆の写真を撮ろうとカメラを構える。
しかし、他のメンバーは私の待っている場所とは違う方向に向かって滑って行ってしまう。
どうしたのかと思ったら、私の滑った跡が全部雪崩れたとのこと。


雪崩を起こしながら滑り降りる


確かにそこから先も、少しでも傾斜の急なところではターンしたラインに沿って、そこから下の雪が全て雪崩れるのである。

5センチにも満たない表層雪崩なので危険性は少ないけれど、あまり良い気持ちはしない。
林間部分を選んで滑り降りるようにする。


あちらこちらに雪崩れた跡が


再びガスが濃くなってきた。
斜面が急に落ち込んでいる場所があったので、後ろの人に知らせようとその手前で立ち止まる。


全員集合

その瞬間に、斜面の雪が音もなく雪崩れていった。
これで積雪が10センチくらいあれば、恐ろしくて滑っていられないだろう。

沢を渡るところで、先に滑っていたチームに追い付く。
その頃には降っていたものも雨に変わりつつあった。
貴重な体験もでき、温泉に入ってそのまま帰ってしまうよりは、ずーっと楽しい時間を過ごすことができたのである。

そこでシールを貼って林道まで登り返し、後は新見温泉まで林道を滑り降りる。
途中で見える山の斜面は、そこらじゅうで全層雪崩が起こっている。
春スキーのシーズンも残りわずかだ。


山の斜面は全層雪崩の跡だらけ




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