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利尻山ポン山(2022/03/05)
ヤムナイ沢(03/07)

吹き飛んでしまった利尻パウダー

バックカントリー用のザックをそのまま機内持ち込みしようとしたら、アイゼンにスコップ、プローブは機内持ち込み禁止とのこと。
それだけを取り出すのも面倒なので、ザックごと預けることにしたら4キロの重量オーバーで超過料金をとられてしまう。

スキー道具を持って飛行機に乗るのは初めてなので要領がわからない。
これならばスキー靴だけを機内持ち込みにすればよかったと後悔した。
丘珠空港を利用するのも初めて、プロペラ飛行機に乗るのも初めて、そして初めての利尻島スキーツアーなのである

丘珠空港
初めて利用する丘珠空港と初めて乗るプロペラ飛行機


見慣れた風景を眼下に眺めながら丘珠空港を飛び立ち、1時間もかからずに利尻空港に到着。
車で稚内まで走り、フェリーで利尻島に渡った時のことを思い出すと、衝撃的な速さである。
料金もスーパー先得を利用して往復で16000円と、ガソリン代や高速代、フェリー料金を考えればこちらの方が安いかも知れない。

利尻空港
あっという間に利尻に到着


利尻空港に到着したら、そのままお迎えの車に乗って、今回の宿であるペンションレラモシリにチェックイン。
カリスマガイドと言われる渡辺敏弥さんが経営するペンションである。

今回の利尻ツアーは何時もと同じくI山さんの企画で、参加者は7名。
4人部屋を2つ予約してあったので、もう一人分余裕はあったけれど、利尻遠征ともなるとさすがにハードルは高いようだ。
名物のうにめし丼に舌鼓をうち、明日のツアーに備えた。

レラモシリの夕食
お釜で炊き上げるうに飯


朝8時にツアー出発。
何処を滑るかはガイドさん任せ。
この日は南風が強かったので、島の北側斜面を滑るらしい。

利尻富士温泉まで車で向かって、そこからはスノーモービルで引っ張ってもらって標高を稼ぐ。
距離にして2キロ、標高200m地点まで登ってきた。
利尻北麓野営場の前である。
2013年にこのキャンプ場に泊まって利尻山山頂を目指したことを懐かしく思い出した。
利尻島に来るのはそれ以来である。

利尻山バックカントリー
楽そうに見えるけれど結構疲れる


そこからシールを貼って登り始める。
ルートは夏道の登山道とほぼ同じだ。
トドマツやアカエゾマツ、ダケカンバ等の混ざった森の中を登っていく。
巨木も多く歩いていて楽しい森だ。

私達7人に対して、ガイドは渡辺さんの他に2名も付いてくれている。
このようなガイドツアーに参加するのは初めての経験だったけれど、滑る斜面の選択から全て任せておけば良いので気楽なものである。

利尻山バックカントリー
暫くは森の中を歩いて徐々に標高を上げていく


歩くペースはかなり遅い。
ガイドツアーではこのペースで登るのか聞いてみたら、参加メンバーの年齢に合わせて、何時もよりはペースを落としてくれているらしい。
確かに、70歳以上の長老2人を含めて7人中5人が60歳以上なので、ガイドさんも気を使うしかないだろう。

利尻山バックカントリー
ようやく利尻山の姿を確認できるようになってきた


時々休憩を入れながら1時間20分で標高500mまで登ってきた。
この辺りでようやく利尻山の姿を確認できるようになる。
この後、尾根の上では雪が飛ばされているかも知れないので、スキーアイゼンを付けるように指示される。

一旦、沢を下ってその先の尾根へと上がる。
ここまで森の中を歩いている間は風も殆ど吹いていなかったのに、尾根に上がった途端に強風に晒された。

利尻山バックカントリー
尾根の上は別世界だった


この風は、ガイドさんが考えていたよりも強かったようだ。
これ以上標高を上げるのは無理と判断したようで、そこでシールを剥がして滑り降りることとなった。

利尻山バックカントリー
これ以上登るのは無理


沢地形の中を標高差にして250mを一気に滑り降りる。
と書くと快適そうに聞こえるけれど、実際は樹木が混んでいるので、そんなに快適に滑ることはできなかった。

利尻山バックカントリー
ここで滑走準備、海の向こうに見えるのは礼文島

 

その沢の底から登り返したのは、島の北部にある小さな山「ポン山」である。
樹木は混んでいるけれど、山の北側には何箇所かの開けている場所があった。

利尻山バックカントリー
ポン山への登り返し、後ろに見える森林限界付近から沢の中を滑り下りてきた


そんな斜面を案内されながら3本滑る。
尾根の上の強風が嘘のように、風も殆ど吹いていなくて、雪質もまあまあ。
しかし、それぞれの斜面の標高差は100~150m程度。

利尻山バックカントリー
ポン山1本目が今回の利尻において一番気持ちよく滑ることができた


こんな斜面を滑るために利尻まで遠征してきたのではない。
渡辺さんのFBに何時もアップされている様な広大なアルパインエリアを一気に滑ることしか考えていなかった。
ガイドさん達は一生懸命盛り上げてくれるけれど、札幌近郊でもっと良いパウダー斜面を何度も滑っているので、どうしても物足りなく思えてしまう。

利尻山バックカントリー
2本目の斜面、良さそうに見えるけれど雪が悪いので右の林の中へ滑り下りた


そしてやっぱり雪が悪かった。
上手な人ならば少々の悪雪でも普通に滑っているけれど、私は雪が悪いとてき面に滑りが下手になるのだ。

利尻山バックカントリー
3本目の斜面は雪が悪すぎた


最後にポン山の山頂まで登り返して、そこからは車を停めてある利尻富士温泉に向かって滑り降りる。
私達のツアーでも4回も登り返すことは滅多にない。
限られた時間の中でお客様に目一杯楽しんでもらおうとの配慮なのだろうが、私を含めた高齢者は少々疲れ気味である。

斜度もあって斜面も長いですよと言われていたけれど、上から見下ろしたその斜面は幅も狭くて樹木も多そうだ。
同宿の二人連れ女性ボーダーも別なガイドの方と一緒に山に入っていて、滑る場所も大体は私達と同じ様なところである。
ここの斜面も先に滑っていたようで、狭い斜面は既にトラックだらけの印象だ。
結局、あまり楽しめないままに標高差300m程を滑り下りて、最後に温泉まで滑り下りた。

利尻山バックカントリー
4本目、雪が悪いと滑りも慎重になってしまう


宿まで戻ると、そこで待っていたのは今日の飛行機で帰るために皆より1本早く切り上げたG藤さんだった。
ご家族に突然の不幸があり、予定を1日早めて帰ることにしたのだが、今日の飛行機が欠航してしまったのだ。


 

明日から大荒れの天気になるとの予報だったので、明日の飛行機が飛ぶかどうかを心配していた。
それが今日は、丘珠空港の雪による欠航だという。
昨日までは良いコンディションが続いていたようで、どうも私達は最悪のタイミングで利尻島に来てしまったようだ。

レラモシリの夕食
二日目の夕食、焼き魚はニシン


翌日は予報通り朝から猛吹雪となり、宗谷地方には暴風雪警報が発表され、ツアーは勿論中止。
午後には飛行機の欠航も発表された。
現役の3名は月曜日の仕事を休まなければならず、不幸のあったG藤さんは今日も帰れない。

利尻山バックカントリー
猛吹雪の中、宿から徒歩10分の食堂へ行くのに遭難しそうだった


島の人達は慣れたものなのだろうが、旅行者にとってはやっぱり大変である。
でも、明日は天気が回復するらしく、そうなると期待していた新雪パウダーを滑れるかも知れないと、仕事を休む言い訳を考えながらも、皆は結構楽しそうである。

飛行機やフェリーが欠航となり、予定外でもう1泊することになった場合、宿泊料金の割引とかあるのかな~と内心期待していたけれど、そう都合良くはならなかった。
それでも夕食メニューは毎回変えてくれて、3泊目は美味しいスープカレーを食べることができた。

利尻山バックカントリー
荒れる海を背景に記念撮影


そして翌朝、雲はまだ多かったけれど、昨日吹き荒れていた風はほとんど止んでいた。
この日は北風に変わったので、島の東側のヤムナイ沢で滑ることとなる。

鬼脇の集落からスタートして、スノーモービルで今日は標高500m付近まで一気に連れて行ってくれる。
嬉しかったけれど、スノーモービル料金は昨日は1人1500円だったけれど、今日は1人3000円と2倍である。
距離も5キロ近く、スノーモービルで引っ張って貰うだけで、太ももの筋肉がパンパンに張ってしまった。

利尻山バックカントリー
途中休憩を含めて標高500mまで17分で到達


朝早くに山の様子を偵察してくれたようだが、今日もアルパインエリアの雪はほとんど飛ばされてしまっているらしい。
そのために、雪の付いている斜面を探して滑ることとなる。

せっかく標高500mまで連れてきてもらったのに、登ってきた林道を標高差にして100m程滑り下りてから尾根の斜面に取り付いた。
急斜面を一気に登って尾根の上に出てくる。

利尻山バックカントリー
尾根への取り付きはかなりの急斜面だ


そこからもう一つ沢を越えて隣の尾根に移動。
標高は450mくらいで、そこで既に森林限界を超えていた。

利尻山バックカントリー
隣の尾根へ移動、もっと上まで登りたかったけれどここで終わり


残念ながら利尻山の山頂は雲に隠れて見えない。
上の方に良さそうな斜面が見えていたけれど、滑るのはここから下みたいだ。

今日もガイドさんが3人付いていてくれて、まずは1人が偵察のために滑り降りる。
そして下から無線で滑るルートを指示してくれる。
その指示によってガイドの1人が滑り下りて、私達はその後を追って滑っていく。

利尻山バックカントリー
ガイド3人で作戦会議、ここから滑り降りることに


これが酷い雪だった。
積もっている雪はウィンドパックされていて、所々に吹き溜まりができている。
おまけに木も多い。
私が後ろの方からヨロヨロと滑って行くと、吹き溜まりに突っ込んで2人も転んでいた。

利尻山バックカントリー
何もないところで2人も転んでいた


全く何も楽しめないまま100mを滑り下りて1本目終了。
ガイドさんも想定外の雪の悪さだったようだ。

そこで相談の結果、最初の尾根に戻ってスノーモービルで登ってきた林道へ降りる斜面を滑ることになる。
尾根の上に出る前にスキーアイゼンを装着。
雪の飛ばされた尾根は固い雪面が露出していて、アイゼン無しで登るのは辛そうだ。

利尻山バックカントリー
吹きさらしの尾根の上は雪が飛ばされカリカリだ


ガイドさん1名が先導してくれて、他の2名はそこから離れて滑る斜面を探してくれる。
そして標高520m地点から林道に向かって滑り降りることになる。
最初の方は緩い斜面だったので、重たい雪でも何とかターンできた。

利尻山バックカントリー
これくらいの斜度なら何とか滑れる


しかし最後の斜面はかなりの急斜面である。
先にガイドさんが2人滑って、その後1人づつ滑り降りる。
3人目のヨッシーが滑っている時に、斜面がスパッと切れて、ヨッシーが転ぶのが見えた。

私達のいる場所からは、下の部分が少しずれた程度にしか見えなかったが、実際はそこから数十メートルは雪崩れたようだ。
幸い、雪崩れたのはヨッシーから下の雪面で、本人は巻き込まれずに済んだのである
後で話を聞くと、雪崩れた瞬間はもう少しで雪崩用エアバッグのトリガーを引きそうになって、心臓もバクバクしていたらしい。

利尻山バックカントリー
反対側の斜面から見た雪崩の跡、かなり広範囲に雪崩れたようだ


残っていたガイドさんの指示で、そこを滑るのは止めて、近くの林間部分を斜滑降で降りることにする。
今日は昨日以上に滑りを楽しめていない。

そこで、偵察したガイドさんの話では林道の南側に見えている斜面の雪が良さそうだとのこと。
長老2人はもう十分とのことで、先に降りることにしたようだ。
今日は何処へ行ってもパウダーは望めそうにないので私もどうするか迷ったが、次に利尻に何時来れるかも分からないので、最後まで滑ることにする。

利尻山バックカントリー
左側の斜面を滑ることに


そして目の前に見えている斜面に取り付く。
今まではガイドさんもゆるい傾斜で登ってくれていたけれど、ここの急斜面ではそうもいかない。
そして急斜面をジグザグに登るために、何度もキックターンを繰り返す。
私は股関節がそんなに柔らかい方ではないので、急斜面でのキックターンは苦手である。

利尻山バックカントリー
シールを剥がす場所もかなりの急斜面だった


そうして標高差70mを何とか登り終えて、今度はそこを滑り降りる。
これもまたかなりの急斜面である。
そして雪もやっぱり重そうだ。
おまけに斜面の半分はモナカ雪になっているようで、ガイドさんから「私の滑った跡の右側を滑ってください、左側には絶対に入らないでください」と言われた。

利尻山バックカントリー
雪が良ければ滑れそうな斜面は沢山見えているのだけれど


先に滑った人の様子を見ていると、何度か転んでいる人もいて、余計にビビってしまう。
それでも何とかターンしながら滑ることができた。
ここでは滑りを楽しんだと言うより、転ばないで滑れたことの方が嬉しかった。

利尻山バックカントリー
それぞれのシュプールを見てもかなり慎重に滑っているのが分かる


こうして今回の利尻山でのスキーは終了、後はスノーモービルで登ってきた林道を一気に滑り降りる。
登ってくる時も太ももの筋肉がパンパンになったけれど、それは下りでも同じだった。

午後2時には宿まで戻ってきて、午後3時50分発の飛行機で丘珠へ。
時間的には、札幌近郊の山に出かけるのとほとんど変わりない。

利尻山バックカントリー
楽しかった利尻にお別れ


滑りは全く楽しめなかったけれど、仲間とのこんな旅行は楽しいものだ。
スキー道具を持っての飛行機搭乗にも慣れたし、山の様子も大体分かったし、機会があれば是非リベンジしたい利尻山だった。



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