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岩越山(2024/02/28)

何時も眺めていた山へ

清水から見える日高山脈の山々。
冬になると、そんな山々の中に滑ると楽しそうな斜面が沢山見えるようになる。
しかし、見えてはいても、地形図を見ると傾斜が急過ぎたり、そこへアクセスする道が無かったりして、山スキーのフィールドとなりそうな場所は殆ど無い。
そんな中でも、比較的アクセスしやすそうな斜面があり、何時も気になって眺めていた。

岩越山バックカントリー
この斜面がずーっと気になっていた


その山をGoogleMapの航空写真で確認するが、そこまでのアクセスルートがはっきりとしない。
そこで、近くまで行ってドローンを飛ばして写真を撮ってみると、樹林帯の密度が低い所も多く何とか山スキーでオープン斜面まで辿り着けそうだった。

畑の雪はほとんど解けて土が剥き出しになっていたけれど、2日前に30センチのまとまった降雪があり、朝から日高山脈もくっきりと見えていたので、気になっていたその山に出かけることにする。
地形図に山の名前は書かれていないが、そこにある三角点の名前は岩越山になっている。

岩越山バックカントリー
事前にドローンで偵察した時の写真


除雪されている道路際に車を停めて、そこから林道を歩いていく。
ドローンを飛ばした時は、林道の雪も溶けていたので途中まで車で入ることができたが、さすがに30センチも積もるともう無理である。
林道に誰かのトレースがあると思ったら、それは全部鹿の足跡だった。
林道横の牧草畑らしい雪原は、その全面が鹿の足跡だらけである。
そのまま林道を進んでいくと、途中で高速道路の下をくぐる。

岩越山バックカントリー
鹿の足跡だらけの林道が高速道路の向こうまで伸びている


高速道路を過ぎて、岩越山方向に向きを変える。
予定では進んできた林道と直角に交わる林道を歩くつもりだったが、岩越山に向かえば途中でその林道にぶつかるはずだ。
ところが、雪原を過ぎて森の中へ入っていくと小さな沢に行く手を阻まれ、しょうがなく林道を目指すとその境界にバラ線が張られていて、結局林道の曲がり角まで戻ることになる。

岩越山バックカントリー
この雪原を斜めに横切って目的地に向かおうとしたけれど・・・


こちらの林道は等高線と並行するように続いているので、傾斜は全く無い。
しかし、途中に大きな沢が有るはずなので、その沢を渡るまではこの林道を歩いた方が良いはずだ。
それに林道の両側にはバラ線が張られていて、途中から森に入るのは難しい。

岩越山バックカントリー
こちらの林道は傾斜がほとんど無く、両側にはバラ線が


この付近の等高線は細かい曲がりが多いので、小さな沢も多いのだろう。
大きな沢を越えた辺りでその等高線が微妙に膨らんでいて尾根地形になっているのが読み取れる。
バラ線が埋もれている場所を見つけて、そこから森の中へと入っていくと、予想した通り沢にも邪魔されず真っ直ぐに進むことができた。

岩越山バックカントリー
バラ線が埋もれているところから森の中へと入る
 

 

森を抜けると再び、バラ線で囲まれた広々とした雪原へと出てきた。
ドローンでも確認していた雪原である。
ここのバラ線は弛んでいるところが多かったので、そのまま侵入できる。

岩越山バックカントリー
ここの雪原を横断する


雪原を斜めに横断して後ろを振り返ると、森の向こうに下界の風景が広がっているのが見えた。
ここまで傾斜は緩やかだったものの、いつの間にか標高差にして150mくらいは登ってきていたようだ。

岩越山バックカントリー
振り返ると下界が見えていた


雪原を横断した先で出迎えてくれたのは、立派なミズナラの巨木だった。
その先からようやく山の斜面に取り付くといった感じで、スキーのヒールリフターはここまで一度も使っていない。

岩越山バックカントリー
形の良いミズナラが出迎えてくれる


スタートしてからは1時間ちょっと、距離としては2キロ程度だろうか。
山へのアプローチとしては何とか我慢できる時間と距離である。
その先のカラマツ林は疎林なので気持ち良く登っていける。

岩越山バックカントリー
カラマツの疎林の中を登っていく


途中で林道に上がる。
その付近はアカエゾマツが少し混み合っていたので、林道に上がるのにちょっと苦労した。
そしてついに目の前に、麓から見えていたオープン斜面が現れた。
ここまで辿り着くのにかかった時間は1時間40分。
日勝ならば既に山の上まで登っている時間である。

岩越山バックカントリー
林道の上に広がるオープン斜面


斜面には笹が出ているものの、滑るのにそれ程邪魔にはならないだろう。
笹よりも気になるのは、斜面にできているシュカブラである。
麓では、雪が降った後にそんな強風は吹いていなかったのに、ここの斜面は風に晒されていたようだ。

登り始めて直ぐに、そのシュカブラの表面がとても硬くなっていることに気が付く。
表面の雪が、歩を進める度にバリバリと音を立てて割れてくる。
私の技術では絶対にターンができない雪質である。

岩越山バックカントリー
硬い雪のラッセルは余計に疲れる


そんな雪の中をラッセルしながら登るのは一苦労だ。
今シーズン2度めの山スキーで、ここまでの一人ラッセルでかなり疲れているのに、更にまるで砕氷船にでもなった気分のラッセルを強いられる。
しかも、苦労して登ってもそのご褒美のパウダースノーは期待できない。
オープン斜面の上まで登るのは早々に諦め、途中の尾根まで上がることを目標に変える。

岩越山バックカントリー
これ以上登っても滑りは楽しめないので、この辺りで妥協することにした


 

 

尾根に上がったところで2時間20分経過していた。
そこでお昼にする。
尾根の上の雪は柔らかく、斜面の方もこんな雪ならば、もっと頑張って上まで登っていただろう。

岩越山バックカントリー
尾根の上は疎林で雪も柔らかい


滑りは楽しめなくても眺めは最高だ。
雲一つ無い澄んだ青空が広がり、その青空の下に東大雪の真っ白な山々がくっきりと浮かび上がる。
日勝の山に登っても同じ風景を見られただろうが、ここの山からの風景は初めて眺めるものなので、とても新鮮に感じるのだ。

岩越山バックカントリー
左の方に見えるのが二車線化の工事が進む高速道路、この付近にPAもできる予定


清水の街並みや隣町の新得の街並みが、とても近くに見えている。
清水の街では、自分の家まで見えそうな気がする。

岩越山バックカントリー
清水の街が間近に見える


岩越山バックカントリー
白く見える山は右からウペペサンケ山、ニペソツ山、石狩岳


そんな風景を楽しんだ後は、いよいよクラスト斜面の滑走である。
まともに滑れるだろうかと不安だったが、ほとんど斜滑降で何とか下まで降りてくることができた。

岩越山バックカントリー
この辺りでは斜滑降で滑るのが精一杯


その後は林道で少し歩かされる以外は、ほぼノンストップで車まで滑り降りられる。
今日の天気ならば日勝に行ったほうが良かったかなとも思ったが、初めての山に登るのは良い刺激になったのである。



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