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朱鞠内湖の魅力(後編)

朱鞠内湖畔キャンプ場(6月19日~20日)


朱鞠内湖の展望台にも寄り道

朱鞠内から美深へと向かう途中にあるのが、マイナス41.2度の日本最低気温を記録した母子里である。
この母子里地区の人口は、平成27年1月時点で23世帯42人。
道路から見る限りでは、ここにそんなに人が住んでいるのかと驚くくらいに寂れた場所である。

ここに手押し式信号機があるのは、ちょっとした冗談のように思えてしまう。
住民もいなければ、この道路を走る車も殆ど無いのである。

「日本一意味のない信号機」と言うランキングがあったとしたら、ここの信号機は間違いなく上位にランクインするだろう。
ちなみに、このタイトルで検索してみたけれど、何もヒットしなかった。


クリスタルピークス

しかし、私はこの母子里地区が何となく好きである。
私はまだ見ていないけれど、春にはカタクリやエゾエンゴサクの花がとても綺麗らしい。

毎年2月には「天使の囁きを聴く集い」といったイベントも開催される。
その名前を聞いただけで、イベントに参加してみたくなる、良いネーミングだ。

そのイベントの会場となる母子里クリスタルパークに寄り道する。
ここのモニュメント「クリスタルピークス」は、青い空や周りの木々をその表面に映し込み、その実物以上の空間の広がりを感じさせられる。

初めて見るわけではなかったけれど、こんなに素晴らしいモニュメントだったのかと、改めて感動した。
天気のせいなのか、それとも表面を清掃して映りが良くなったせいなのかは分からないが、一度は見ておく価値のあるモニュメントだと思う。

クリスタルピークス
見る場所によって映るものも違ってくる



国道275号に架かるうるべし橋

その先、国道275号のうるべし橋も私の好きなポイントである。
この橋の上から眺める天塩山地の樹海の風景は、圧倒的だ。

橋のたもとにはちょっとした広場も作られている。
しかし、訪れる人は殆どいないのだろう。
そこに作られた東屋は、つる植物に覆われ使い物にならなくなっていた。

びふかアイランド内の温泉で汗を流し、道の駅のレストランアウルで昼食。
アイランド内にはキャンプ場もあって、如何にも長期滞在キャンパーらしいテントが沢山張られていた。
キャンプ場が無料の頃は長期滞在者が沢山いたみたいだが、有料になってもそれは変わらないようだ。
このキャンプ場は、来月のダウンザテッシのイベントでお世話になる予定である。

うるべし橋からの展望
うるべし橋からの大展望


車の温度計は27度を表示していた。
時間もまだ昼を過ぎたばかりで、キャンプ場に戻っても暑いだけである。
そこで、函岳に登ることにした。


函岳へ通じる林道入り口

登ると言っても、この山は車で山頂まで行けるのである。
ただ、細い砂利道を27キロ走らなければならない。
こんな時でなければ登る機会のない山なので、丁度良かった。

ところが林道入り口までやって来ると、「函岳山頂までの道は積雪のため通行できません」との看板が立っていた。
下界は暑くてたまらないと言うのに、積雪通行止めとは全く予想外だった。

念のため、役場に電話を入れて確認すると、この日の午前中から山頂まで行けるようになっているとのこと。
今年は、6月20日から函岳山頂までの道が通れるようになるみたいで、これはラッキーだった。



林道はデコボコも少なく意外と走りやすい。
調子込んでスピードを出し過ぎると路外逸脱の恐れもあるので、控えめにアクセルを踏む。
まだ飛ぶことのできない野鳥のヒナが、林道上をヨタヨタと歩いていて、危うく轢きそうになる。
何故か山鳩も林道でウロウロしていて、車で近づいてもなかなか逃げないので、こちらの方が焦ってしまう。


加須美峠を過ぎると山頂が見えてくる

この林道は道北スーパー林道と呼ばれていて、歌登まで続いている。
多分林道マニアの間では有名な林道なのだろう。
加須美峠のT字路から曲がって、そこから山頂まで10キロ。

背の高い樹木の殆ど生えていないなだらかな山の上にレーダー施設が見えている。
そこが山頂らしい。
車で登っていくと、途中に雪が残っていて驚かされる。
標高1129mの山だけれど、道北の山は雪解けも遅いようだ。

林道に入って50分もかからずに山頂の駐車場に到着。
ここまで登ってくるとさすがに空気も冷たく、長袖のシャツを1枚着込んだ。

そこからレーダー施設の横を通っていくと、函岳山頂である。
雲が多いのが残念だったが、周辺に高い山が無いので360度の予想以上の展望が広がっていた。
空気が澄んでいればオホーツク海や日本海に浮かぶ利尻富士の姿も見えるらしい。
車で登ってこれるのだから、天気の良い時は時間を割いてでも登る価値のある山だった。

函岳山頂
函岳山頂からは360度の展望を楽しめる


砂利道にも慣れたので、帰りは40分で下山。
美深の町で買い出しをして、午後4時頃にはキャンプ場へと戻ってきた。

美深では雲が多かったけれど、朱鞠内湖の上空には澄んだ青空が広がり、鏡のような湖面にその青空が写り込む。
空気もヒンヤリとして、日中は鬱陶しく感じていた陽射しが、今は心地よく感じる。


サイトの前には美しい風景が広がる


美しい朱鞠内湖の風景を眺めながら、かみさんが揚げてくれたウドの芽の天ぷらをつまみにビールを飲む。
幸せな時間だ。


隣のキャンパーさんとは簡単に行き来できない

第3サイト先端のキャンパーの方がキツネがいるから注意してと、声をかけてくれた。
残念ながら、既に被害を受けた後だったけれど、このキツネは日中からエサを求めてテントの近くまでやってくるくらいに図々しくなっている。

FBの知り合いから長期滞在キャンパーであると教えられた話をすると、「その方がそちらのサイトから写した写真が幌加内のパンフレットに載っているんですよ」と言って、わざわざ取り出してきて見せてくれる。

こんなやり取りも、全てがお互いのサイトの間の入り江を挟んでのことなので、写真を見せられても遠すぎて分からないのである。


カヌーに乗って、夕食を食べて、焚火をして、キャンプの時間が過ぎていく。
今日の夕日は、かみさんがカヌーの上から楽しむ。
テントに戻ってきてから写真を見せてもらったら、私が昨日見た夕日よりも美しかったようだ。


湖上から眺める夕陽



最後の一漕ぎを楽しむかみさん

暮れゆく湖を眺めながら焚火タイム



翌朝、ツツドリの目指し時計は鳴ったようだけれど、寝坊して日の出の瞬間は見られず。
しかし、薄い雲がかかっているだけで空は晴れていて、湖もべた凪だ。
顔を洗う時間も惜しんで、朝の風景を撮影した。


朱鞠内湖の朝



べた凪の湖に漕ぎだす

湖上散歩に出るには、昨日よりもずーっと好条件である。
しかし、再び北大島まで漕いでいく気力も体力もないので、近間の湖上散歩で済ませることにした。
べた凪の湖に漕ぎだす。

良く見ると、太陽から離れた場所に幻日も姿を現していた。
最初は幻日だけだったけれど、次第に暈もかかってきた。
朱鞠内湖は本当に様々な表情を見せてくれる。
これが、何度来ても飽きることのない朱鞠内湖の魅力なのである。

そんな風景に魅了させながら、何処までも漕いでいきそうだったけれど、湖面に立ち始めたさざ波が、テントへ戻るきっかけを与えてくれた。


太陽に暈がかかった


朝食を食べている間に、さざ波は湖面全体に広がってしまう。
風も少し出てきたようで、これで心置きなく朱鞠内湖を後にできる。

鷹泊神社
いつも気になっていた鷹泊神社

時間も早かったので、添牛内小学校跡地に立ち寄ったり、朱鞠内湖へ向かう途中にいつも気になっていた鷹泊神社に参拝したりと寄り道を繰り返す。

16年ぶりに、鷹泊ダム湖の湖畔にある鷹泊自然公園にも行ってみることにした。
ここにはキャンプ場もあるけれど、道内各地の利用者の少ないキャンプ場が次々と閉鎖されていく中で、ここだけはまだキャンプ場として機能しているみたいだ。

しかし、さすがの私も敢えてここに泊まろうとの気持ちは湧いてこない。
フウマが生きている頃ならば、フウマが自由に過ごせる場所として泊まることはあったかもしれないが、今はやっぱり人間が快適に泊まれるキャンプ場に足が向いてしまうのだ。

16年前は自然公園内の散策路も歩ける状態だったが、現在は木道なども朽ちかけて、森の中の散策路などはその場所を探すの難しいくらいに、自然の森に戻ってしまっていた。


眺めが良いのはこの場所だけ

自然に帰りつつある園内の施設


昼食を何処で食べるか迷ったけれど、時間的には秩父別町が丁度良い。
何を食べようかと調べていて、秩父別町のご当地グルメが緑のナポリタンであることを初めて知った。

それを食べられる「ファミめし屋 ブロッコリー」に入ったが、このご当地グルメの条件の一つが「町内産ブロッコリーの使用」となっていて、まだブロッコリーの収穫前だったために、食べられなかった。
その代わりに私は、緑の天丼を食べてみる。

胸焼けするので普段はあまり天丼は食べないのだけれど、天ぷらが全て緑色でSNS映えしそうなので注文してみたのだ。
普通に美味しかったけれど、帰りの車中、やっぱり胸焼けしてきたのである。

予想以上の好天に恵まれた、今回の朱鞠内湖キャンプ。
札幌に戻ってくる頃には雨も落ちてきていた。
6月の北海道はパッとしない天気が続ているけれど、その合間を縫って快適なキャンプを楽しめるのはリタイア生活の一番の良いところである。


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朱鞠内湖キャンプ後編の写真  



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