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憧れのサイトは道内一

夷王山キャンプ場(10月22日~23日)

今回の道南キャンプの一番の目的は滝瀬海岸を歩くことだったが、もう一つ目的にしていたことがあった。
それは夷王山の丘の上にテントを張ることである。
夷王山のキャンプ場は谷間の様な場所がサイトになっているので、そこからの眺めはパッとしない。

一方、キャンプ場の近くの丘の上からは上ノ国や江差の街、そして日本海や空気が澄んでいれば奥尻島まで一望できるのである。
以前はそこは正式なサイトではなかったのだが、今はキャンプサイトBとなっているので、大手を振ってテントを張ることができるのだ。


直ぐ近くで風車が回っている

7年ぶりに訪れる夷王山は、風力発電の風車が沢山建っていて以前とは様子が変わっていた。
丘の上のBサイトも、何となく様子が違っている。
それでも、テーブルと一体となった野外炉は昔のままで、サイトの中に10個くらいが並んでいた。
その中の一つを使えるようにテントを張る。

Bサイトは、何も遮るものがない丘の上なので、風が強い時にテントを張るのは難しい。
今日も少し風が吹いていたけれど、何とかテントを張れるレベルだった。

サイトの様子が何となく違って感じたのは、後になって分かったのだけれど、ここにあったレストハウスの建物が取り壊されて無くなっていたからである。
多分、この建物が無くなったので、ここが正式なサイトとして認められたのだろう。


最高のロケーションが広がるキャンプサイトB


一息付いたところで、上ノ国市街地にある花沢温泉へ入りに行く。

去年の暮れにリニューアルオープンしたばかりで立派な建物になっていた。
それでも、入浴料は200円のままで変わらないのが嬉しい限りである。

焚き火用の薪は、上ノ国まで来る途中に海岸で流木を大量に拾ってきていた。
ところが、サイトの野外炉でも薪を燃やして煮炊きできそうなので、そのための小さめの流木も、温泉に行く途中に追加で拾っておいた。

夕日が沈む時間までにキャンプ場に戻って来ることができた。
Bサイトからは、日本海に沈む夕日もその場で見られるのだ。


サイトからこんな夕陽が眺められる


最高のサンセットショーを楽しんだ後は早速、野外炉の中で流木を燃やし始める。
本来はバーベキューを楽しむための野外炉なのだろうが、耐火レンガが使われているので小さな火ならば周りの木の部分を焦がす心配もない。
誰かが捨てていった金網が有ったので、それを利用してケトルでお湯を沸かす。
とても使い勝手の良い野外炉である。


テーブルの真ん中で焚火ができるなんて最高だ



テーブルの中で燃える火を囲みビールで乾杯。
空には何時の間にか月が昇っていた。


流木もたくさん集めて、良い夜を過ごせそうだ


かみさんが「奥尻島の灯台の明かりが見えるわよ」と言うので、そちらに目を向けた瞬間、巨大な流れ星が海に向かって落ちていくのが見えた。
時間は午後5時40分で、まだ明るさの残っている時間である。


遠くには奥尻島の灯台の火も見えていた

それなのにこれだけ明るく見えたのだから、もしも暗い時に流れていれば、数日前に北海道で話題になったばかりの火球並みの明るさに見えていたかもしれない。

この野外炉ならばダッチオーブン料理も作りやすそうだが、今日の夕食メニューはキムチ鍋だったので、それは普通にガスコンロで作る。
野外炉の火は暖房代わりにもなり、その火を囲んで夕食を食べる。

夕食の後は、焚き火台を使っての盛大な焚火を楽しむ。
辺りが暗くなると、上ノ国や江差の街の夜景が美しく輝き始めた。


江差の街の明かり

昨日よりも更に明るさを増した月が場内を明るく照らす。
幸いなことに、場内に1灯だけある照明が点かないものだから、月の明かりを余計に感じることができる。
昨日も同じような月明りだったはずなのだが、場内の照明が強烈に明るいものだから、月の明かりを感じられなかったのだ。

人口の照明は眩しいばかりで、周りを明るくする効果はそれ程ないような気がする。
それが月の明かりは、眩しくはなくても、キャンプ場全体を昼の様に明るく照らしてくれるのだ。

夜になれば風も止むかと思っていたが、全然その気配がない。
おかげで巨大な風車は元気に回り続け、その音も結構気になるレベルである。
しかし、そんな音も、遠くから聞こえる鹿のラッティングコールが束の間忘れさせてくれる。


月明りに照らされた場内は驚くくらいの明るさだった


一向に止みそうにない風も、炎を上げて勢いよく燃えることのないスカスカの流木を、普通の薪並みに燃やす手助けをしてくれる。
そうして、かみさんが拾ったどう考えても太過ぎる流木を見事に灰に変えてから眠ることができたのである。


素晴らしい風景が、風車で分断されてしまった

この風のおかげで、夜露でテントが濡れることも無く朝を迎える事ができた。
夷王山キャンプ場での朝は、朝日が登ってくるのをキャンプ場の近くにある夜明けの塔から眺めるのが我が家の恒例となっている。

しかし、夜明けの塔まで行って唖然としてしまった。
夜明けの塔の真ん前、しかも朝日が昇ってくる方向に、巨大な風車が建てられていたのだ。

夜明けの塔から朝日を眺めると、蛇行して流れる天の川が白く輝くのである。
私はその風景が大好きだったのに、風車がその天の川を真っ二つに分断してしまったのだ。

何故この場所に降車を立てる必要があったのか。
多分、風車を計画した人間もそれを許可した人間の何方もが、この夜明けの塔から朝日を眺めたことがなかったのだろう。
もしも一度でも見ていたとしたら、こんな暴挙は許さなかったはずだ。


これからはこんな朝日の風景しか見られないのだ


町に抗議しようかとも思ったが「夜明けの塔から朝日を見る人が何人いると思ってるのですか?風車があるおかげで町には定期的な収入があるんですよ。それでキャンプ場も無料で利用できるし、温泉だって200円で入れるんです。」とでも言われるのが落ちだろう。
私が町に落とすお金なんて、入浴料200円の他はコンビニで買うビール代くらいなのである。


この1本だけ別の場所に建てれば済んだのに

風車に圧倒され夜明けの塔が小さく見える



サイトに戻ってきてから眺める朝日の方が、余計な感情抜きで見られるので、夜明けの塔から眺めるよりも美しく見えた。


これからは夜明けの塔まで行かなくても、サイトから朝日を眺めるだけで十分だ


昨日の夜に燃やしきれなかった流木で焚火を始める。
拾ってきた流木は綺麗に片付けてから帰らなければならないのだ。

それにしても、風車は気になるものの、それを差し引いてもここのサイトは素晴らしい。
ロケーションの素晴らしさは、道内のキャンプ場の中でもトップクラス、いや、一番と言っても良いかもしれない。


道内一のロケーションと言っても良いかもしれない


キャンプ場として考えた場合、Bサイトには炊事場が無いのだけれど、その変わりに小さな水飲み台が1基あるので、我が家はそれで十分に事足りる。
それに、野外炉付きのテーブルがとても便利なのである。
もっとも、10か所くらいある中で使われているのは駐車場に近い2、3基程度で、他の野外炉は中に雑草が生えているような始末である

朝のコーヒーを楽しみ、朝食を済ませる。
その後はゆっくりと片付けを始めるが、テントがそんなに濡れていない分、昨日よりも撤収作業が楽である。
撤収を終えた後は、標高159mの夷王山山頂を極めてから上ノ国町を後にした。


夷王山に駆け登るかみさん

夷王山山頂の鳥居


この後に向かったのは、昨日に引き続いてSTVの「ソラタビ北海道」絡みの場所である。
この場所は、番組のオープニング場面で映っていただけで、何処だとは紹介されていなかった。
女性が小石を拾いながら歩いていた浜辺で、その空撮映像がとても美しかったので印象に残り、直ぐにGoogleマップの航空写真で調べてみたところ、意外と簡単にその場所を特定できたのである。


途中で石拾いをするかみさん

そこには江差の道の駅からも歩いて行けるところだった。
小砂利と砂が混じる柔らかくて歩きづらい浜辺を歩いて、砂嘴状に海に突き出ている浜の先端を目指す。

途中で石を拾いながら歩いている中年女性とすれ違った。
録画してあった番組を後でもう一度見直してみると、その中で石を拾っていた女性と多分同一人物である。

空撮映像で見るととても美しい浜に感じたけれど、地上を歩いていると普通の浜でしかなかった。
奥尻島からのフェリーが江差の港に入っていくのが見える。


カーブを描く浜辺が良い感じだ

港に入るフェリーと開陽丸


こんな海岸で石を拾うのは、私たちが何時もやっていることでもある。
風景的には特段変わった場所ではないけれど、綺麗な石が沢山拾え、形の良いガラス瓶も二つゲット。
ビーチコーミングの場所としては、なかなか良い浜である。


濡れていると、どの石も美しく見えてしまう


その後は国道277号経由で熊石から八雲町へと抜ける。
雲石峠前後の紅葉は素晴らしく美しかった。
峠道での紅葉は、これまで見た中では三国峠の紅葉が一番美しかったが、雲石峠はそれに勝るとも劣らない美しさである。
ブナが多いせいなのか、道内の他の地域で見る紅葉とは一味違う色合いに感じた。
ただ、車を停める適当な場所がなくて、一番美しい場所の写真を撮れなかったのが残念だった。


本当はもっと美しい場所があったのだが、車を停められなかった


昼食は、八雲町の「ふくろう」でラーメンを食べ、今回の道南のキャンプ旅は終了。
天気にも恵まれ、美しい風景にも出会え、快適なキャンプ場にも泊まれて、本当に充実した旅となったのである。



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